28Nov
パレートの法則は、”8:2の法則”とも呼ばれていて、売上げの8割は、全体の2割の顧客で占めているなど、自然現象や社会現象には偏りがあって、わずかな部分が全体に影響を及ぼすという経験法則です。今回は、それを相場に当てはめて考察してみます。
相場のモメンタムとパレートの法則
相場は、現在値における値段と時間の意味づけの強さによって動き出すので、一日を通じて、大きく動く回数は限られています。
大枚数で数ピプス抜くようなスキャルピングなら、モメンタムに依存しませんが、ドル円・ユロドルでワントレード20ピプス以上を狙うとなると、24時間のなかで、チャンスは2割~3割程度かもしれません。
今回、なぜ、このテーマにしたかというと、”迷晴れボックス”への投稿を拝見していて、相場を俯瞰できるスキルを持っているのに、肩に力が入り過ぎているせいでミスをする人が、とても多いと感じたからです。
重箱の隅まで目が行き届きすぎてしまい、あとからチャートを見れば「何でこんなところで…」となるわけです。
これは、ボクも含め誰にでも身に覚えがあることではないでしょうか。
動かないものに対して、全力で挑んで破れる。
まるでドンキホーテのようです。”ドンキホーテ症候群”とは、スリルを求め無謀な挑戦をしたがることだそうですが、この悪い習慣は”クセ”になり癒着します。
良い習慣にしろ、悪い習慣にしろ、習慣化すると身体が覚えてしまって、なかなか抜けなくなるので、どうせなら、良いクセを身につけたいものです。
相場をパレートの法則で観る
たとえば、日足1本は、15分足96本、これを8:2に分けると、76本:20本となり、2割側20本は5時間分です。
4時間足は24時間で6本できるので、「今日は、どのタイミングの4時間足を狙おう」なんて、かなり絞り込んだ面白いアイデアもアリですね。
チャートを読解できるスキルがあれば、強いモメンタムは、ランダムで突発的なものではなく、1時間足以上の節目が、根拠になっているのがわかります。
20日・23日は”パレート法則”を越えて4時間足数本分大きく動きました。根拠は、上位足のWトップ+米国感謝祭、経済指標の影響でしょうか。こういう日もありますが、週・月単位でみれば”パレート法則”が当てはまるかもしれませんね。
8割の熟成(待ち)期間、2割の収穫期間。
円を正方形で囲むと、その面積比率は8:2になるそうです。8割の熟成期間に対して、2割のおいしい食べれる収穫期間があって、それを過ぎると腐り始める。
サプライズな経済指標の結果や、トランプ発言などは、さながら、台風や異常気象のようで、これがおこると通常の収穫期を待たずして実が落ちてしまうなんてこともあります。
アボガドというフルーツは、中心に大きな種があるので、おいしく食べられるのは、その周辺だけですが、なんか相場と似てますね。
ボリンジャーバンドでいえば、円周部分を1σとすると、その内側に収まる確率は68.27%。以前、どこかの動画でもお伝えしましたが、傾きのないボリバン±1σの内側7割は、おいしくない期間なんです。
相場でおいしいのは、円周から外に飛び出した2割の部分かもしれません。
高値キリサゲ、安値キリアゲの”三角持ち合い”先週高値を含む売りNから売られてもおかしくない状況。
先週高値+売りNを巡る攻防を予測して緑ボックス内で、”機が熟す”のを待てていたか否かがポイント。
欧州時間、黄高値反発したにも関わらず、紫安値が東京安値を割らなかったことで動意づき、次の4時間足が30ピプスの陽線になりました。
この日は、2/6の確率で、大きな4時間足が出ましたが、緑ボックス内の4時間足3本分は熟成期間といえましょう。
核(中心)が見えると、周囲のことも見え始める。
アボガドの種には毒があって食べられませんが、相場にできるフルーツの種には、食べられるものと、食べられないものがあります。
指向性が弱いレンジ相場の種(中心部)は食べられませんが、指向性が強いトレンド相場の種(押し目・戻り目)は食べられます。
緑ボックスをフルーツの”種”とすれば、まず、種を食べるか、食べないかの選択があります。
この緑の種は20ピプスしかないので、ボクなら捨てますが、殻を破れないことを前提に、レジサポから”逆張り手法”でトレードすることは可能です。
ただ、これは、熟成期間限定のツマミ食いなので、あくまで短期決済を心がけます。
つまり、種のできる場所を早めに特定して、熟成期間と収穫期間を区別することができれば、短期決済と中期決済でトレードスタイルを切り替えることも可能になります。
ドル円やユロドルでも、10ピプス程度狙いならチャンスがグンと増えます。
利食いが難しいと感じている方は、熟成期間と収穫期間、そして、どこに種ができてフルーツが成るかを、意識してみると面白いかもしれません。
これは、ジグソーパズルで、”絵の塊”ができると、その周辺のピースが簡単に見つかるような感覚です。
不思議なもので、全体をまんばんなく網羅しようとしても見えなかったものが、物事の核(中心)を観ることで、その周囲の状況もよくわかるようになってきます。
やっちゃダメなのは、エントリーできそうなところを探すという視点。
シナリオを立てた段階で気づけなかったレベルのエントリーポイントは、うまくいかない可能性が高いです。
それは、見せたいものを見せようとする脳の働きによって、どうでもいいような、重箱の隅の出来事を拡大解釈してしまっているだけかもしれないので。
近所に、全席ソファーで、コーヒーがマグカップで出される喫茶店があります。
ボクは、そこがとても気に入ったので、コーヒーチケットを購入して、息抜きに通ってました。
ところが、開店して1年ぐらいした頃、このマグカップが、なんと、普通の小さなカップになってしまったのです。
1時間くらい、ゆっくりしたり、本を読みたいとき、ソファー空間と、大き目マグカップの組合せは最高だったのに…ボクにとっては、”居心地に良い時間”という、このお店の本質的な価値が下がってしまいました。
お客の回転数を増やすためなのでしょうが、そのせいで、コーヒーチケットを買うぐらい常連だったボクは、もう行かなくなってしまいました。
客層って、ちょっとしたことで変わるものです。ボクと同じよいうな客層も、行かなくなったかもしれません。
客数って、商圏規模も関係するので、そう簡単には増えないし、あの手、この手で、無理やり、増やそうとすれば、客層が悪くなってしまい、いままでの上客が離れていく。
2割のお客が、利益の8割を出しているのだとすれば、やはり、大事にするのは”2割側”だと思います。
経営の神様、ピータードラッガーも”顧客の創造”が大切といってます。
トレードも、負けてくれる側を顧客とみれば、彼らがお金を落としてくれるキャッシュポイントが見えてきます。
そういうところを重点的に狙えばいい。
昔からお伝えしてることですが、知識量や手法の数より、どういう視点でチャートを観るか、このほうが遥かに大切と感じてます。
発見の旅とは、新しい景色を探すことではない、新しい目(視点)を持つことである。
フランスの作家 マルセル・プルースト
旅と視点なら、この映画。個人的に吹き替えに違和感があったので字幕版でぜひ!
◆お断り◆
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コメント
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コメント (11)
いつもご教授頂きありがとうございます。以前の動画の際にもごちゃごちゃゾーンを抜けてからおいしいところでだけご馳走するようにしたいとコメントさせて頂きましたが、以前として頭でわかっていてもいざ実践になるとまだ食べられないのにエントリーしてしまい毒に当たりまくってます。やはり知識は得られたとしてもそれを実現できるようになるには練習が必要ですし時間もかかるということですね!逆に誰でも簡単にできることならみんなfxやって儲けてると思います。自分自身如何に練習し検証し工夫していくかということですね!そこを乗り越えて自分で答えを出せた者だけがfxの勝ち組に入れるのだと思います。私もいろいろ工夫してみようと思うのですが、今すぐ始めてみようと考えてるには、もうそろそろ食べ頃かなあと思ったところでいきなり実践トレードではなく、とりあえずデモトレードでエントリーしてみることです。おそらく早すぎて失敗したというエントリーが沢山出てくるでしょう。そして自分が一体それでどれだけpipsを損してるかを知ろうと思います。それと同時に見送り三振の癖をつけたいと思います。どうしてもチャンスを逃すまいとの気持ちが先にたって、とりあえずエントリーしてから考えるようになってしまってます。それでは今後も負け続けると思いますのでとにかく最初はデモから入って様子を見るようにします。実弾ではなくデモということは事実上エントリーを見送ったのと同じですので。そこでああいってしまったということがあっても平気でいられる
ボクも抜け期待エントリーには、散々、悩まされました。今回のテーマのように、動き出すには相当な時間がかかります。初動を捨てて、明確なひと波を待つようにするといいかもしれません。バイーンは諦める(^_-)-☆
途中で切れてすみません。とにかく意図的に見送る癖を着けることが、結果的に本物のチャンスを見分られる判断力に繋がるのではと考えております。
パレートの法則は非常に面白いですよね。
昔、統計学で競馬予想をやっていたんですけど、たしかに競馬で勝ちやすい手法ってあるんですよ。それは穴狙いです。私がやっていたのはまだ馬連時代でしたけど、たしか1勝4敗くらいのペースで1年くらいで200万円くらい勝った(本当のことですよ)記憶があります。
わたしがまよはれさんから最も影響を受けた言葉は「コツコツドカンで負けるのなら逆にすればいい」という言葉でした。
つまりコツコツドカンじゃなく、ドカンコツコツですね・・・笑い。それってまさにわたしがやっていた競馬の手法と同じなんですよ。
以来、FXは競馬と割り切り、損切りは小さく、利食いは大きく、決済は全てOCO、レースが始まったら途中決済は一切しない。を貫いています。
ちょっと長くなりますけど、もうひとつ。
馬連で穴を狙っていたわたしですけど、翌年から三連副が導入されて配当が激減し、わたしは競馬から撤退しました。
しかし、三連副が導入されるとなんで配当が激減したんでしょうか?不思議ですよね。
考えてみると結論はただひとつで、世の中にはありえないような宝くじみたいな馬券を買っている人が沢山いるということです。わたしはその人たちをカモにしていたんですね。そのカモの人たちがもっと高配当を求めて馬連を捨てて三連副のほうに逃げ出してしまったということです。
これもパレートの法則ですよね。
ほんとに楽しい動画でした。ありがとう。
まさしく経験者は語る。ですね(^_-)-☆
物事には偏りがあって自然、平等はある意味不自然だと思います。勝とうとするのではなく、負ける人探しをする。それこそが、自然の法則に逆らわない方法なのかもしれません。
いつもためになる動画とブログを本当にありがとうございます。
今年の夏頃に失敗トレードを投稿させていただきました。そのときに頂いたアドバイスは、分足の封印でした。アドバイスを頂くまでは1分〜15分足しか見ないトレードスタイルでしたが、今はエントリータイミングを図るに4時間足と1時間をメインにしています。5分足に4時間足と1時間足を表示させて4時間足のピンバー部分でフォーメションが完成したらエントリーするロジックです。その方法にしてからエントリー回数が劇的に減り、収益が安定するようになってきただけでなく、失敗トレードが日を追うごとに減ってきました。今日の動画を見ていて、本当にその通りだなと改めて腑に落ちました。お礼をかねて投稿させて頂きました。ありがとうございます。
たった1回のアドバイスで激変するなんて、センスいいですね!ボクもお役に立てて嬉しいです(^_-)-☆
ライフは以前もブログで紹介されていて、3回見ました。見るたびに印象が変わる不思議な映画です
今回は自然との結びつきが内面への探求を深めるのだろうかという印象です。
世界を見て、ありのままを受け入れる事が感じることだとするのなら、そこで感じたもの、見つけたものは、誰の内面にも存在する美しきものなのでしょうか?
私はヨガをするのですが、ヨガの世界に似ているのかもしれません。
ヨガとは大地と空との結びつきを自分の肉体を通じて感じることだそうです。
呼吸だけに意識を集中させることでエネルギーの流れを感じることができます。
そこは静寂の世界で、頭の中には何もなく、どれだけの時間が過ぎているのかもわかりません。ただ静かに時が流れています。自分の呼吸をあるがままを受け入れる事で邪念が消えるのです。そこにありのままの自分が見えます。それを賛美するでもなく、否定するでもなく、眺めていると、美しい光が見てきます。これが結びなのかと私には思えます。
瞑想が良いと教えてもらってチャレンジしたことがありますが、瞑想できているのかどうかわからず、なかなか、難しいなぁと感じました。静寂の世界に達することができるのは凄いですね!
そうですか、やっぱりこれは瞑想なのですね。続ければ新しい自分を発見できるかもしれませんね。
返事ありがとうございます。
お分かりだと思うんですけど、僭越ながらもう少し補論させていただきますと、わたしが言いたかったのは、そしておそらくはまよはれさんも言いたかったのも、けっして1勝4敗で勝てということではなく、そういう考え方をするべきだということなんですよね。
最初の競馬について言うと、わたしは指標を元にレースのさまざまな条件から予測値を出していました。当初は狙いの穴馬も含めて、その予測値の上位4頭をボックス買い(頭数の全ての組み合わせを買うこと)していました。
4頭の馬連ボックス買いですから全部で6点ですよね。
しかし、しばらくするうちにこれが恐ろしく不高率な買い方であることをわたしは悟りました。
どうせ穴を狙うんですから、狙いの穴馬から流したほうがぜんぜん得だということに気がついたんです。
そこで、こんどはボックス買いをやめて、狙いの穴馬からの3点、4点流しに切り替えました。
6点が3点とか4点になるんですから一点あたりの馬券購入金額はほぼ倍になります。
はたして、その結果は?
確かに勝率は落ちましたけど、回収率(配当/掛け金)は飛躍的に向上しました。
これはいったいどういうことなのか?
たしかに勝率が落ちたんですから、わたしは以前よりもより多くのレースに負けたことになります。しかし、にもかかわらず回収率が増えたということは、その負けレースとは、より勝つためにはどうしても必要な負けであったことということです。
ようするに、勝つためには負けが必要であり、その負けを覚悟することが必要なのだということだということですね。
それこそがコツコツドカンじゃなく、ドカンコツコツの本当の意味だと思います。
競馬なら、いったん馬券を購入してしまえば、たとえレース前であってもJRAは一切返金には応じてくれません。
馬券を購入すれば、博徒はほかに何もできず、ただレースの結果について責任を負うことを強要されます。
いっぽう相場は、レース途中での返金も可能です。というか、レースの結果がどこにあるのか?それすら決まっていません。自分が決済したところが結果なんですから。
結果が博徒の自由にまかされているというこの相場のルールは、いっけん博徒に対して有利であるように思えますけど、じつはこれこそが相場を博徒にとってより勝ちにくいものにしているんです。
その勝ち難さの結果こそコツコツドカンなのだと思います。