29Aug
今回取り上げたテーマは応用範囲が広く、理解した上で相場を学び始めるなら、相当なアドバンテージを持てるのではないでしょうか。すぐに役立つテクニックではありませんが、あとからジワジワと役立ってくるでしょう。
神羅万象とダウ理論第一法則
世界のトレーダーが目線付けの基準にしている、「ダウ理論」には、6つの基本法則があります。
平均はすべての事象を織り込む。
この第一法則は、世界経済や、自然災害に至るまで、あらゆる事象が、全て市場価格に織り込まれるというものです。つまり、ボクやあなたのトレードですら、市場価格に反映されているというものです。
ボクはこの第一法則から、森羅万象というコトバを連想しました。
19世紀のダウ理論が今でも通用するのは、相場という”空間と時間の拡がり”が、自然界の神羅万象と本質的に似ているからではないでしょうか。
森羅万象
しんらばんしょうとは、あらゆる現象、宇宙に存在する一切のもの。「森羅」は樹木が限りなく茂り並ぶことであり、「万象」は万物やあらゆる現象。 なお、「宇宙」はあらゆる存在物を包容する無限の空間と時間の広がり、および宇宙空間を指す。 出典:Wikipedia
自然が創り出す美しいパターン。
相場が創り出す美しいパターン。
このふたつは同じことで、樹木の枝分かれが不自然でないように、相場の波動にも、自然発生的なパターンがあると思っています。
自然界は、理論的に説明がつかない美しいパターンを持っています。
人は大昔から、雪の結晶、花びらの数など、自然発生的なパターンを「黄金比」として、芸術や建築分野で採用してきました。
金融界にも、なぜそうなるのかわからないが、パターンとして認識できるものがあります。
そういったパターンに数理統計学的根拠はありませんが、自然界の摂理が、金融界の摂理と似ているからこそ、昔から使われているのではないでしょうか。
自然界も、金融界も、美しいカタチを記憶しているのではないか。
ボクは、そう考えています。
フィボナッチ数列
イタリアの数学者フィボナッチ( 1170年頃 – 1250年頃)に発見された「フィボナッチ数列」は自然界に多く存在するパターンです。
花弁の枚数は3枚、5枚、8枚、13枚のものが多い、ひまわりの種は螺旋状に21、34、55、89・・・と並ぶ、などが挙げられます。
このフィボナッチによって求められる「黄金比」は、1:1.618であり、この名刺サイズの縦横比率が最も美しいカタチとされています。
ミロのビーナスの身長を1とすると、おへそから下が0.618、ダビンチのモナリザ、パルテノン神殿、凱旋門、サクラダファミリアにも黄金比が用いられています。
金融界でも、0.618というフィボナッチ数を基本にした「フィボナッチ・リトレースメント」という値動きを予測するツールが使われています。
有名な「エリオット波動理論」は、このフィボナッチと組み合わせて、値動きを予測するもので、”相場は、上昇5波・下降3波という周期で繰り返し動く”というものです。
これ以外にも、フィボナッチを使うテクニカル指標として、ペンタゴンチャートやハーモニックパターンなどが挙げられます。
最近は、トランプ砲などで、一時的にチャートが乱れることがありますが、しばらくすると元の調和のとれたカタチに戻ります。それはまるで、調和のとれた美しいカタチを記憶しているかのようです。
フラクタル(自己相似集合)
雪の結晶、海岸線、人の肺や腸の内壁など、自然界にフラクタルは数多く存在しています。
相場も、このフラクタル構造になっていて、小さな部分と、大きな全体が、同様のパターンを持っています。
例えば、時間足のWボトムの2つの谷をみると、分足が、それぞれに、Wボトムを形成しているのがわかります。また、時間足上昇トレンドの押し目箇所は、分足レベルの下降トレンドになっています。
フラクタルは相場の構造上の骨組みであってマルチタイム分析するなら欠かせない概念です。
相場のフラクタル構造が理解できると、インジケーターを使わなくても、相場環境を認識できるようになります。
高値A・Bに、それぞれ、ミニWトップが出現。
4時間足3本分でWトップをつくってる。
高値Bでも、4時間足3本でWトップをつくっている。
高値AのWトップに4時間足3本分の時間を要したことから、黄〇のような値動きでの売りを控えることができる。
フラクタルを理解すると、チャートの見え方がガラっと変わります。
いわゆる相場観が身につきます。
平均への回帰
背の高い者同士と、背の低い者同士が結婚する確率は高いそうですが、背の高い子供ばかり、背の低い子供ばかりが生まれてななく、日本人の身長は正規分布しています。人の体温や血圧も、一時的には上下しても、平均値に落ち着くようにできてます。
自然は真空と二極化を嫌うといいます。
同様に、相場にもスタビライザー機能があるせいか、行き過ぎたものはもとに戻る性質を持ちます。
移動平均線は、ある期間における値動きの平均値です。この平均値を基準に押し目買い・戻り売りの目安としたり、乖離したなら平均値へ戻る性質を利用して逆張りする手法があります。ボリンジャーバンドなら、2σとミドルバンド(移動平均線)の乖離を利用した逆張り手法が有名です。オシレーター系のRSIやストキャスも、売られ過ぎ、買われ過ぎ、からの逆張り手法があります。
これらはすべて、平均値へ回帰する性質を利用したものです。
極論、損切りしなくたって、放置すれば、いつか戻ってくるという人がいますが、あながちこの発想は間違ってません。ただ、何年も戻ってこないで、含み損を抱えるストレスを考えれば、どうなのかなぁ、と思います。
ただ、移動平均線なら何でもいいわけでも、ボリバン2σから、いつでも逆張りできるわけじゃありません。
平均値は平均点ではないので、そのときによって変化します。そこを見極めることができれば、”平均値からの押し目買い・戻り売り”と”乖離から平均値への回帰”を利用したトレードが可能になります。
「場」の支配
我々は、最小単位の家庭から、学校・職場・地域・日本・アジア・地球・最大単位の宇宙まで、すべての「場」に属しています。
アニメ「ブラック・ラグーン」は、ごく普通の日本人サラリーマンが、東南アジアで海賊「ラグーン商会」に拉致され、死亡したことにされてしまい、裏社会の一員として生き直す姿を描いたものです。
このアニメをみると、個人の個性だけじゃなく「場(空間と時間の拡がり)」の環境が及ぼす相互作用で人格がつくられる、そう感じます。
与えられたポジションが人格をつくるように、相場も、与えられた環境によって値動きが決まります。
ブルーラグーン(青いサンゴ礁)が強い下降波動によって出現しました。この波動の高安、どちらかを抜けるまでは、このラグーンの支配下にあります。
このブルーラグーン下限からの上昇波によって、シルバーラグーンが出現、緑ボックスで交戦状態になってます。
トレンドが続けば高値と安値を更新していくのでラグーン化しませんが、上位足レジサポなどに阻止されれば、そこにラグーンを作り始めます。
そのときの、支配波動を把握すれば、レンジ内部の値動きの情報を整理しやすくなります。
自然界の4つの力(相互作用)
自然界には4つの力が存在しているといいます。
重力=ニュ-トンの万有引力ことで、ボクたちを地球に引きつけているマクロな力。
ロングは上昇するには長時間かかる、ショートは下降するのは短期間という意味、暴落を(ナイア)ガラるといいますが、これには、落ちるのは危ないこと、という心理的な背景があります。
もし、地球に重力がなかったら、上昇と下降において心理的な違いはなかったのではないでしょうか。
電磁力=N極とS極が引き合あったり、+と-が引き合ったりする力。
”待って、ラインに引き付けてから買う・売る”こんな言い方をよくしますが、相場にはマグネット効果があり、重要なレートに引き付けられてから、本格的に動意づくことがよくあります。レジスタンス・サポートといった節目が、磁石の役目をするわけです。
強い力・弱い力=原子などミクロな力。
4つの力の強弱関係は、強い力(機関投資家・投機筋)>電磁力(節目レジサポ)>弱い力(個人投資家)>重力(ロングとショート)の順番です。
自然界において重力は、さほど大きな力ではなく、目に見えない「強い力」が圧倒的な強さを誇ってます。
相場でいう「強い力」は、さしずめ、機関投資家や投機筋といったとこでしょうか、弱い力とは、ボクたち個人投資家、ひとりひとりの影響力は小さいですが、きっかけさえ与えられれば、その値動きに群がることで値動きに作用しています。
強い力はレジサポを突き破ることができるので「強者の値」と名づけました。強い力が加わったレートは、それ自体が、後からレジサポとして作用します。
その人の持ってる「二元性の世界観」が現実をつくります。
現実とは「感じかた」なので、違う価値観、世界観を持っていれば、全く同じ事象でも、違う現実になります。
現実って、結局、フォルターがかかってるので、どちらかというと白日夢に近いです。
よく”現実的にいって…”っていう人がいますが、個人的な価値観や世界観でできた現実など、全く気にしなくていいです。
以前、傷ついたたスズメと鷹の話をしました。
傷ついたスズメと鷹を、二人の人間が介抱して、自然に返したところ、鷹がスズメを捕獲、これは、どう解釈すればいいかという話です。
鷹を介抱した者からすれば喜ぶべきこと、スズメを介抱した者からすれば悲しむべきこと。
善と悪、精神と物質、勝ちと負け、陰と陽。
世の中には二元論者が多いが故に、スグ交戦状態になります。
相場も、売いたい人と、買いたい人がいるので、常に交戦状態です。
上がると思えば、白日夢のように、上がる幻想イメージが浮かび、下がると思えば、下がる白日夢を見る。
さっき、家庭から宇宙までの間、すべてのポジションに、あなたがいるとお伝えしましたが、宇宙に行けば、おそらく二元論なんてぶっ飛ぶでしょう。
なにせ、考えうる、最大の空間と時間の拡がりのなかに身を置くわけですからね。
武道の”遠山の目付”とは、1ヶ所を見ないで、遠くの山を見るように敵の全体を見ることです。
チャップリンは”人生は近くで見ると悲劇だが、遠くで見ると喜劇である”といいました。
リズムとハーモニーという二元性を、繋げるのがメロディだそうです。同じ「ド」も、組み合わせる音で、その意味が変わります。
二元性の物事を一元で観る。
そういう、宇宙から下界を見るような目線を持てれば、物事の本質に近いところに居れるのではないでしょうか。
相場でも、相対する者の心理を考えることは、中立なポジションをキープできることに繋がります。
俺様目線じゃなくて、売りでも買いでもない、神様目線。
この目線がもたらす恩恵は、周りの人と違う発想や、今まで正しいと思っていたことが、むしろ逆効果だったことへの気づきです。
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コメント
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コメント (16)
おはようございます。いつもご教授頂きありがとうございます。自然界の法則のお話ですが、私は趣味でよく美術館に行きますが歴史的な絵画や美術品は皆フィボの数値を使っているようです。先日見たヘラスケスの絵もそうでした。そうしたことが影響しているかもしれませんが、美術観賞の後は勝ってることが多い気がします。だからといって先日のようにエントリーしたまま美術館に入るのはダメですね!手仕舞ってから入るか、美術館から出てからエントリーします。また森羅万象ということで変に拡大解釈したり、必要以上の深読みでエントリーしないようにしたいです。奥が深いからこそシンプルにということで基本に忠実にしたいです。それと全くの余談で恐縮ですが、先日さくらももこさんがお亡くなりなられたのはとても残念です。私は52才ですからほぼ同世代ですので、懐かしい思い出が消えたようで寂しさを覚えます。しかしこれも中島みゆきさんの歌のように「時代はめぐる」ということでしょうか?そして為替の相場も時代をめぐっていきますね!これもまた森羅万象でしょうか❗
美術館巡りですかぁ。そういえば暫く行ってません(^_-)-☆涼しくなったら、行こうかな。東海地方や長野県方面でおすすめの美術館があれば、また教えてください。
いつも気付きの多い動画をありがとうございます。
二元性一元論について考えて、また一段安定したトレードになった気がします。
勝ちも負けも個人の解釈で、そこで起こっている事実は単なる値動きなんですよね。
だからどちらの方向に進んでも、ついていけばいい。
しかし、負けという解釈が起きるときに、値が動きやすい事実もある。
この負けという解釈が二元性一元論の肝だと思いました。
いいかえれば、二元性を持った値動きは、人間という生き物の負けという解釈の普遍性により、一元化できるということです。
私の結論は、人間は不利な状況では、負けと認めず、不利な状況で、さらに負けたときに折れるようにして負けるということです。
事実、逆境から這い上がる人はいるわけです。しかし、そこからさらに落とされて、這い上がれる人は人間という生き物の平均からすれば、少数です。
チャートを見ていると、明らかに上なのに、なぜ、売りが入るのだろうという疑問がありましたが、インジケーターの違いと別に、不利な状況だけでは負けと認めないという感情も働いているのではないでしょうか。
負けた後に取り返したいという感情も、資金は不利になったわけですから、待ったほうがいいわけです。しかし、リベンジトレードをするということは、そういったことにも普遍性があり、様子見組の私たちはこういった一元化できるものを基準にトレードするべきだと教えてもらったような気がしました。
長々失礼しました。ありがとうございました。
折れるように負ける。
この表現、思わず頷いてしまいました。
一歩引いてみると、アンテナを張ることができます。二元のときは情報が片付かず、一元だと情報が整理され「核」が見えてくるのではないかと思ってます。
二元のときは情報が片付かず、一元だと情報が整理され「核」が見えてくる
頭がすっきりしました!
一度自分に向き合った人がFXで成功しやすいのは、
核になる自分を一元的にとらえ、周りも一元的にとらえる癖ができているからなんですね。
ありがとうございました。
迷晴れFXさんの動画に出会う事が出来ました,本当にありがとうございます。迷晴れFXさんは全てにおいて本物の方だと確信しました。説明もとても分りやすいです。僕とても癒されています(笑)。感謝の気持ちで<引き寄せのコツ>の本に使って、迷晴れさんは、自分がお金を儲ける事ではなく、人のため、世の中のために貢献することである。自分の利益を追求することではなく、人の幸福を与えるために自分は何にをすべきかを考えることである。自分が名声を得る事を考える事ではなく、あくまで謙虚に人のために尽くすことである。このような志を持つひとに、いいことは引き寄せられます。僕のfxまた勝ちないです、今4時間から1時間15分高安更新のところ、強者の値に注目しています、抜くか戻るの両者の気持ち考えています、次回の動画楽しみ待ています。
そんな偉大な人間じゃないですよ。
ただ、過去の経験から、感情を溜めこむとロクなことはないので、適度に手放しているだけです。それが、結果的に人の役に立つなら、それに越したことはないと思ってます。
常にスペースを開けておくほうが、心も身軽になれます。
いつも動画で勉強させていただいています。
今回の動画も大変勉強になりました。
恥ずかしながら私の失敗トレードも見て頂きたいと思っているのですが
画像等はどのURLにお送りしたらよいでしょうか?
ブログの右サイド”迷晴れボックス”から、ご投稿ください。
ご返信ありがとうございます。
迷晴れボックス内のコメント欄でいいのでしょうか?また、
画像の添付はどこでやったらよいでしょうか?
物分かりが悪くてすみません。
”迷晴れボックス”バナーを押して”投稿用フォーム”に記入、画像の添付は”ファイルを選択”で行います。
ありがとうございます。
今朝負けトレードを投稿させて頂きました。宜しくお願いします。
今回の雑談は、何時もの雑談にちょっとスパイスを加えたような内容で感動しました。
フラクタルな相場を理解するのはかなり難しく、経験と慣れが必要だと思います、こんな私もまだまだ不思議な相場の動きに翻弄され続けてますが、昔に比べるとちょっとはチャートさんと仲良くなれた気がします。
初心者の頃は、まさに動いてる相場の先端に集中して、「上?、下?」となってましたが段々と見える範囲が大きくなってきました、グーグルマップを段々引き伸ばしていくような感じでしょうか?。
昔速読を勉強したことがありました(結局挫折しましたが)あれって文字を一つずつ読むのではなく、文章を大きな範囲で写真的にとらえて見るようです、たとえばモナリザを見るときはみんな一目でモナリザってわかりますよね、全体が一瞬で視界に入り理解できるからです、でもモナリザの一部だけ見せてもそれがモナリザだと分かる人はほとんどいないですよね、その一部を少しずつ足していき6・7割埋まったところで「これってモナリザ?」みたいになると思います。
なんだか訳が分からなくなっちゃいましてすみません、うまく伝わったかどうか心配ですが、何かそんな感じです。
迷晴れさんなら、もっと上手に説明してくれそうですね、こんなコメント書くのが申し訳ないです。
今度、迷晴れ目線で解説お願いします。
フォトリーディングとか、周辺視野とか、聞いたことがあります。どちらかといえば、”右脳”を使う感じなのでしょうか。
見える範囲が大きくなっていくのは良いことですね(^_-)-☆
ミニマムエレクトロニカなBGMがかっこよかったです。
有難うございます。そーいうジャンルがあるんですね(^_-)-☆