24May
迷晴れボックスに寄せられたご投稿にお応えするコーナー。今回は資金管理についてです。
資金管理について 投稿者:Iさん
FXを初めて4年が過ぎ、ようやく月100pips程度の利益をあげれるようになりました。そこで、思い切って枚数をあげようとあげたとたんにメンタルが一気に崩れ、一日で損失を-100pips出してしまいその後、仕事が手につきませんでした。あとで気が付いたら、自分のエッジでない場面でもエントリーし、ヤケトレをしておりました。ここで利益をあげるには資金管理の大切さが身に染みて感じおります。
・枚数をあげ、日本時間で3回負けたころから熱くなり、NY時間では資金の5%を超えて10%まで達しておりました。
・2回ならまだしも3回続くと、平常心を保つのは難しくなっていました。
そこで相談なのですが、迷晴れFXさんが使用している資金管理を徹底したエクセルシートなど参考にさせてもらえないでしょうか?もしくはおすすめなど。ネットでいろいろ探したりしのですが、どれもしっくりきませんでした。私が探しているのが以下のようなイメージです。
資金 | 100,000円 |
取引 | 10,000通貨 |
1日の損失限度額 | 5,000円(5%) |
1回の損失額 | 1,000円(1%) |
1回の損切り | 10pips |
1日のトレード回数 | 5回まで |
↓(仮に勝ったとして…。※ありえない数字書いてます。)
資金 | 200,000円 |
取引 | 10,000通貨 |
1日の損失限度額 | 10,000円(5%) |
1回の損失額 | 1,000円 (1%)or 2,000円(2%) |
1回の損切り | 10pips or 20pips |
1日のトレード回数 | 10回まで |
エクセルで毎回トレード回数(損切幅)に規制をかけて入力してい行きたいと考えております。私の場合、1日20pipsとったら終了して、次のチャンスがあるまでエントリーはしませんが、今ほど申しましたように資金量を増やした途端に今までのトレードができなくなりました。熱くなって、リベンジトレードをし始めた時から、ドローダウン発生しているので、何とか食い止めたいと思っております。
資金管理とはサバイバル術
トレードというゲームを続けるための絶対条件は証拠金があることです。これが枯渇したら、そこでゲームオーバーとなります。極端な話、ゲームマネーが無尽蔵にあれば、資金管理など考えなくともゲームを続けることができます。
しかし、現実問題として、誰にでも自由にできて、この額なら失っても生活に支障がないという余剰資金には限りがあります。その一線を越えないため、取引枚数や施行回数に制限をかけるのが資金管理だといえます。
Iさんのようにトレード1回分の損失額から枚数を設定するのは良いアイデアで、ボクもそうしてきました。これは、エントリーを絞り込むことにも貢献すると思います。過去の動画でも「1回の損切を証拠金の1%程度になるよう取引枚数を設定しましょう」ということをお伝えしています。
このプランだと、証拠金10万円で1回の損失額が-1,000円、一日で-5,000円なら、理論上、20日間連続で負け続ければ証拠金が枯渇しますが、証拠金を10万円を用意できるなら、またトレードを再開できます。ただし、これは最悪のケースなので、勝ったり負けたりしながら徐々に証拠金が減っていくとしても、生き残れる日数が稼げることになります。
Iさんは平常心なら毎月100ピプスを出せる実力があるのですから、そのパフォーマンスを維持することが大事です。今回のケースは、ご本人も言われていますが、思いきって枚数を上げたことが原因ではないでしょうか。勝率には、短期的なブレがあるので過信はできません。月間勝率が50%の人でも、日単位では80%になったり、20%になったりします。たまたま調子のいい日が続いたからといって、枚数を2倍にしたその日が勝率20%の日になるかもしれません。
高さ1mの平均台と、5mの平均台では恐怖感が全く違います。10,000通貨でトレードしていた人が、いきなり50,000通貨にしたら、高確率でパフォーマンスを落とします。利食いや損切りが早くなり、反対に、損切りが遅くなることもあります。
資金管理方法にもいろいろあります。結局のところ、財布の紐をどう縛るかというルール決めなので、Iさんのように証拠金に合わせたレバレッジで試行回数をかせぐ方法もあれば、ハイレバレッジな海外口座でワンチャンスにかける人もいます。ぶっちゃけ、日単位や月単位で辞め時さえ決めておけば、何でもアリなんじゃないかと思っています。Iさんも一日のトレード回数や負け枚数を決めているので、とても良いと思います。
兼業でも専業でも、生き残る(トレードという事業を破たんさせない)ことが大事ですが、そのために、生活費にまで手を出すのは間違っています。資金管理方法というより、もっと根本的なことですが、トレード資金と生活費は財布を完全に分けるべきです。一旦、口座に入金したら、そのお金は個人のものではなく、会社のお金と考えるべきです。
会社だと、社長への支払いは役員報酬という勘定科目になります。口座から出金するときは、決められた一定額を役員報酬として支払います。ボクの場合、もともと法人を持っているので、実際、会計上そういう流れになっています。
理論的確率と統計的確率の違い
コイントスなら、理論的に裏と表が出る確率は50%です。その理由は、コインには裏と表しか存在しないからです。1回目のコイントスと2回目のコイントスは、それぞれ独立していて因果関係はなく、それぞれに確率50%です。
これとは別に、統計的な確率の考え方で「大数の法則」という定理があります。これは、コイン投げの試行回数をふやすことで、理論的確率である50%に収束するというものです。たとえば、理論的な確率50%に近づけるためには、1/2分母の400倍の試行回数である800回コイントスする(それでも誤差±10%)必要があるといいます。トレードなら800回トレードしても枯渇しない資金管理をすれば、勝率50%でも生き残れるということになります。
大数の法則でいえば、相当な試行回数をこなさないと理論的な確率には達しないわけです。ところが何故か、一般的に確率というと、理論的な確率を指していることが多いわけです。理論的な確率は、理想的な確率であって、多分に期待が含まれた見せかけの確率です。1回目と2回目のトレードは独立しているので、確率50%であっても、トレード・ビギナーなら、10回連続で負け続けてしまうこともあります。どこまで連続で負け続けても大丈夫か、一日、あるいはひと月、いくらまでなら負けられるのか。その負け方のルール決めが資金を守る盾になります。
余談ですが、統計学をもとにつくられたインジケーターで有名なのがボリンジャーバンドです。σ(シグマ)とは標準偏差のことで、プライスの動く範囲の可能性を示しています。全体の68%が±1σ内で動き、95%が±2σ内で動き、99%が±3σ内で動きます。ミドルバンドという平均値から乖離するほど、相場の勢いが強いことを現わしていて、反面、そこに留まる時間も少なくなります。
5分足がスクイーズした±1σバンド内にあれば、相場に全く勢いのない状態と思っていいでしょう。そんなとき頑張ってトレードしても、一向に動き出さない相場にいら立ってミスをするだけです。統計的なアプローチでつくられたインジは、エントリー云々よりも、環境認識の手助けになります。開発者のボリンジャーさんも、±2σでの逆張りは推奨していませんし、もともと、そういうことをするためのインジではないと書籍でいっています。
上がるか下がるかしかないのに、なぜ負け続けるのか。
ボクはしたことがないのでよくは知りませんが、バイナリーという取引方法があります。ビギナーの方からすると、上がるか下がるかを当てるだけなので簡単という印象があるようですが、単純と簡単とは違います。
トレード注文は、売るか、買うかしかなく、その結果として、利益か損失かしか存在しません。なので、なんとなく理論的には上がるか下がるかの確率50%ゲームに見えてしまいますが、ならば、なぜビギナーは高い確率で負け続けるのでしょう?コイントスのように、確率50%が担保されるゲームなら、誰がやっても、勝ったり負けたりするはずですが、負け続けちゃうのはなぜでしょう?
トレードは確率50%を技術で高めることができるゲームだからではないでしょうか。
たとえば、エキスパートは、ビギナーが、どこでエントリーして、どこで損切りするかを把握しています。浅い押し目買いやレンジブレイク飛び乗りなど、チャンスを待てないビギナーがミスしそうなところを狙っています。ビギナーのエイグジット(損切り)が、エキスパートのエントリーポイントになります。
さらに、ビギナーであれば、プロスペクト理論がバリバリに機能しているので、利益は早く確定したい、損失は確定したくない分、さらに負けやすくなります。チャートの読解力がまだ乏しく、1回負けると感情がブレで、さらなるムダ打ちをしてしまいます。あるいは、上りも下がりもしにくい気迷い相場でポジションを持ち、その含み損に長時間耐えきれず、損切りしてしまうなんてこともあります。
チャートというプライスの推移から投資家心理や次の投資行動を想定できるツールがあることで、それを読める人と、読めない人で雲泥の差がついてしまいます。極論ですが、チャートも視ず、感情も一切入れずに、テキトーに売買するほうが、中途半端にチャートを視るより、かえって勝ちやすいかもしれません。これなら、エキスパートに行動を読まれませんので…
もし、チャートというものが存在しない世界があって、ビギナーからエキスパートまで全員が、現在値しかわからなければ、トレードはコイントスのように確率50%のゲームになるかもしれませんね。
勝てる確率の高いところで勝負するのが、トレードの王道であって技術です。
そういったポイントは、上位足の流れを味方につけた押し目買い・戻り売り、東京時間につくられたレンジのブレイク、損切り狙いのトレード、他にも数パターンありますが、いづれにしても、チャートがある程度読める人が起こす投資行動がかぶるからこそ、意図した方向へ値が進みやすくなるわけです。
相場は不確実性の世界で、確実なものは何一つありません。不確実なことに手を出すことを「リスクをとる」といいますが、確実はないので運悪く負けてしまうこともありますし、さらに運悪く負けが続くこともあります。
運が悪かっただけなのか、それとも、方法が間違っているのか。ビギナーのうちは、この見極めがとても難しく混乱してしまい、確実を求めて余計な情報に翻弄され悪循環にハマります。
この迷いの森から抜けるには、やはり統計的に検証してみるのが有効です。
確実を求めず、確率を高める。
理論的に納得できることを、統計的なアプローチで腹に落とすことで、スッキリと迷いが晴れてくるのではないでしょうか。
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本来の学び場はチャートであり、当コンテンツは【考えるヒント】の気づき場とお考え下さい。自分で仮説をたてて、自分で考えることが勝つコツです。
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コメント
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コメント (8)
こんにちは。初めてコメントします。
迷晴さんの動画はとても参考になりいつも楽しみにしています。
子供が小さくてなかなか働きにいけず、そんな中家でできるトレードを初めて早4年目。
今年の3月にやっと月間120pips取れて浮かれてしまったのか…。4月にたった1日で,lotを1万から5にして-25pipsで1万2千円飛ばしてしまいました。いつもなら深追いしないところをH1で実体で抜けたのに逆張りしてしまいました。
lotを急にあげたことによるSLへの恐怖による微損決済多発と1点に集中しすぎて確率論で見れなかったことが原因とわかりました。
でも皆さんくじけず、失敗を糧に頑張っているコメントを拝見すると私も頑張らなきゃって思います。
投稿者さんに感謝です。
再度FT3に励み確率を高めれるように頑張ります。
迷晴さん、いつも素敵な動画をありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
まさに今回の動画通りでしたね(^^♪皆さん通る道だと思うので、焦らないことだと思います。コメント有難うございます。
迷晴れさん、こんばんは。
今日の動画はまさに今の私の状況といったところでした。質問者さんにも感謝します。
ここ数ヶ月で利益が出始め今月に入ってから少しロットを増やしたところでした。
するといきなり1日、2日にがっつりやられ、気を取り直して一週間を使って取り戻し、
翌週少しプラスが出たところで、その翌週は5日間連続負け。
あと少しでこの数ヶ月の利益をすべて飛ばしそうになったところでトレード中断。
週末はFT3に戻って延々と練習。
気づいたのは
1.ロットが増えると損益にフォーカスしてしまう
2.損切幅がいつもより狭くなりがち
※単に怖がってました。
3.利確はもっとせっかちに
4.必要以上に負けトレードを重く受け止めていた
今週はチャートに集中してポジションを持っても現在の損益を(できるだけ)見ずに
トレードしました。
取引通貨をポンド円からユーロ円に。これでいまやっと慣れつつあるところです。
ロットを上げた途端、損切幅も厳し目にしすぎてたような気がします。
なんと例えればいいのか、自転車の練習で後ろを支えてもらっていたのが外れたとか、
軽自動車からスポーツカーに乗り換えたとか。ドキドキ感と難しさを感じました。
なんとか今月踏ん張って来月以降の勝ちにつなげていきたいと思います。
いや、その前に明日踏ん張ります。。。
アナログですが、現在の損益を見ない、これは効果がありますね。ボクも経験があります。ロットを上げてもパフォーマンスが変わらなければ、お金の増減は相対的に変わりません。理屈ではわかっていても、なぜか、金額に目がいってしまうんですよね。慣らしていくしかないかもしれませんね。
そうなんですよね。ロット上げても収益見て利確してたら一緒じゃないかって感じになってました。
今月はやたらと獲得利益額は増えてるんですけど、損失も同じくらいになってまして。。。
なにやってんだかと。
FXのツールも損益を出さないように設定して残り数日頑張ってみたいと思います。
おはようございます。
あのジョージ・ソロスも先の米大統領選の時、ショートポジションを持って相当な損切りをしたと聞きます。我々なら死んでるかもしれません(笑)
独自の資金管理方法を編み出した天才リチャード・デニスも破産しました。
リスク管理というのは非常に重い問題です。
サラリーマンは、強制的にリスクを取れないように制限をかけられているので失敗する確率も低いのですが、逆に能力のほんの一部しか発揮できていません。しかし、脱サラしてことさら日本のサラリーマンの優秀さと彼らが日本の経済を支えている根幹だと実感しています。
ただ、リスクを取らないように普段から仕事をしているため、相場のようなリスク満点の世界に入ると平常心を保つことが難しくなるのかもしれません。
同業者にサラリーマン時代の経験や得た知識を話するとすごく感心されます。会社関係のOB会などたまに行ったりしますが、懇親がメインでも一応形式的に会議を行ったりしますが、現役の人が話をする内容のレベルの高さに驚いたりもします。
一方で自営業の強みは自由度だと思います。そんなに力がなくても発想やリスクに制限がないので、制限をかけられている状態より大きなリターンが望めます。しかしながら、自由と危険は裏腹であり、あっという間に致命傷を被る可能性もあります。
トレードにおいては、何をおいても資金管理がまず最初にあり、次にポジション管理(損切り・決済)であり、そのあとに環境認識になるのでしょうか。この辺りがベースになると思います。水平線の引きかたやエントリータイミングの取り方などのテクニカルな面は、ベースとなる部分と補完関係にあるので、結局双方が確立できていないと最終的には勝てないのですが、どうしても思考がテクニカルに偏りがちになるので、その基礎となるべくものの認識が薄くなってしまうと思います。
ただ一つ言えることは、プロや安定的に勝ち続けている人は、このトレードにおける優先順位を叩き込んで、決して間違えていないということだと思います。ただ冒頭に記述したように一流のプロでもこれをあやまるので、これが人間の弱さであり面白さであるのかもしれませんね。
ボクもサラリーマンと事業者の双方を経験しているので、おっしゃることの意味が痛いほどわかります。
ハイリスク=ハイリターンは、あらゆる物事に当てはまるといえます。
トレードを始めるなら、リスクとは何かをまず理解して、それを受け入れる仕組みを持たなければ、技術で勝てても、心で負けてしまいます。人間は良い面しか見ようとしませんが、最悪にならぬよう悪い面をどう防ぐかを考えてから臨むべきだと思います。
いつもありがとうございます。
Vital Tones という脳波誘導系のスマホアプリの中に「投資家のスキル」というのがあるのですが、結構効きますよ!
その他にも興味深いタイトルの物があり楽しめます。
ぜひお試しあれ!