6Aug
短期間で効率よく勝ちトレーダーを目指そうとして、かえって遠回りしてしまう人が多くいます。初心者がハマる2つの罠を前もって知り回避することで、本当の最短コースを歩めるはずです。
知識を拾うのは簡単、捨てるのは難しい。
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トレーダーという職業は研究職です。検証と実践を繰り返して、その道の専門家になっていく。広く浅い知識には意味が無く、むしろ焦点を絞り深堀り、知識を知恵に昇華させることが、トレードを最速で上達させるコツだと考えています。
そのためには、何の研究に焦点を絞るかを決めなければなりません。
トレードの勉強を始めると、その情報の多さに驚かされます。何をどの順番で学べばいいのか、普通はまずわかりません。これは、トレード方法に関する自由度が高すぎて、ひとつを選べないことが原因です。標準的なガイドラインなども存在しないため、ほとんどの人は迷宮を彷徨い挫折します。
情報化時代、知識を拾うのは誰でもできますが、捨てるのは難しいです。それには、拾い集めた知識を精査するセンスが必要だからです。
オッカムの剃刀という科学の定理は、不要なものを削ぎ落とすと真理が見えてくると説いています。これは、シンプルな仮説で検証するほうが多くの気付きが得られるという意味です。トレードの勉強も、これと同じ、欲張っていろんな知識を入れ過ぎても、結局は何一つ得られません。僕もこのことに気づくのに1年遠回りしました。
第一の罠 期間平均インジケーターの優位性神話。
トレードを始めると一度は浸かるインジケーター沼。もちろん、落ちた沼をさらに深く潜り、自分なりの金脈を掘り当てる人もいますが、そういう人は、おそらくレアケースでしょう。
期間平均インジの代表といえば移動平均線ですが、マイナーなものまで含めるとその数は膨大、ピリオド(期間)の設定、複数インジの組み合わせまで考えると、もの凄い数の仮説が考えられます。オッカムの剃刀でいえば、正直、とてもシンプルとはいえません。何かひとつ選ぶにしても、どの組み合わせを選んでいいのかもわからず、結局、他人に選んでもらおうとして高額な商材に手をだすわけです。
僕も多分にもれず移動平均線に始まり、海外のトレーダーが自作した特殊なものなど色々試しました。初期のチャート設定は移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI、ストキャスティクス、パラボリック、ADX、MACD、DMIを全て表示、まさにインジてんこ盛り。汚チャート過ぎてローソク足がまともに見えません(笑)1年間、試行錯誤した結果、期間平均インジの優位性が腑に落ちず、現在ではほとんど使わなくなってしまいました。
相場は大きく分けて、値段と時間という2つの要素で構成されています。期間平均インジの計算式は、時間(期間)の概念を使っていますので、20ピリオド、21ピリオドなど期間を設定して、その間の値動きの平均値を計算することで統計的に未来を占おうとしています。この発想は、どちらかといえば占星術などに近いものがあります。
まぁ、占星術だろうがオカルトだろうが、多数の人間が見ていると思われるものには、その計算式に関係なく優位性があると思います。そういう点では移動平均線なんかは使えるのでしょう。ただし、僕の性格上、基準とは動かないものであるべきと思っていて、時間経過でクネクネ動いてしまうものを信頼して背中をあずけることができませんでした。
たとえば、日足に表示する200日移動平均線など長期間データなら、環境認識として、その平均値は信頼に足るものになるかもしれませんが、デイトレやスキャルのエントリーで使うような5分足の移動平均線はダマシも多く、反応が遅すぎて見てても混乱するだけです。小さな損切りでエントリーするなら、純粋な値動きの方が正確だし、視覚的にもわかりやすいです。
僕が値段(水平線)を重視しているのは、相場は値段から値段へ動くからです。値段には人間の意図が集まり、その意図の方向が定まり開放された瞬間に動意が得られるからです。相場の動意は時間の流れに関係なくランダムに発生します。
一日の流れの中でも、東京、ロンドン、ニューヨークと市場が開くごとに市場参加者の意図は変化しています。経済指標の発表がきっかけとなり動意づくこともあります。こういう短期の動きを、時間を平均化することで分析するのはナンセンスだと考えています。相場が動くタイミングは値段に集まった市場参加者の意図と市場オープンや指標発表などが絡んでいて時間に対してランダムです。
期間平均インジに頼らなくなった最大のメリットは、使わないと決めて精神的にとても楽になったことです。水平線を基準にすることで、水平線よりも優位性が劣ると判断した期間平均インジを研究する意味がなくなり、それに費やしていた労力から解放されました。水平線という、ひとつのシンプルな仮説のみを検証すればよくなり一気に上達した気がします。
第二の罠 エントリーポイントへの執着
エントリーポイントへの執着も、上達を妨げる大きな要因です。エントリーポイントさえわかれば儲かると勘違いしていると、いつの間にか近視眼になり5分足中心のトレードになってポジポジ病にかかります。
相場を鳥の眼で俯瞰すること、魚の眼で流れを見ること、これができないと、自信をもってエントリーや利確ができません。自信を持てない方法は長くは続かないものです。
僕はFXを始めた頃、とある塾に3ケ月程通いました。今から思えば、とんでもない詐欺塾だったのですが、この先生はインジだけ見ていれば勝てると豪語してました。手法は1分足と5分足のみを使用、ボリン2シグマにタッチしたらストキャス長短期とRSI長短期のクロスを見てエントリーです。上位足の背景は一切見なくてよくド素人でもすぐに真似できるものでした。
上位足が上昇トレンドでも普通に逆張りショートするので、当然、逆行することも多かったわけですが、そこをマーチンゲール(数倍の建玉をするナンピン)で相殺するという恐ろしくハイリスクな手法でした。この先生はギャンブル好きなだけでトレード技術なんてないとわかって辞めましたが、その後、多くの破産者を出したようです。
小手先のテクニックで数回勝てたとしても自信にはつながりません。負けて悔しいのは自信のない現われです。自信があって、やれるだけのことをやって負けるなら悔しくありません。
トレードは枚数を上げればあげるほど、技術よりも心理的な部分が大事になってきます。テクニックで勝てても本当の自信にはならないので、枚数を上げるごとにメンタルの弱さが露呈していき稼ぐことができなくなります。
チャートは平面ですが、実際の相場は3次元空間で、値段(高さ)×時間(幅)×複数時間足(奥行き)でできています。この空間把握ができないとチャートが見えているとはいえません。特に理解に苦しむのは複数時間足が相互関与していることで、これが感覚的にわかるようになるのには訓練が必要です。しかし、そこさえわかれば、エントリーポイントなど自然に見えてくるようになります。相場は値段で反応するので、なるべく、その値段に引きつけてエントリーすればいいだけの話です。
デイトレやスキャルでのエントリー根拠。
先ほど値段に人間の意図が集まると書きましたが、デイトレやスキャルピングのエントリーで意識しているのは、まさにこの部分です。
「別の力が加わるまで同じ運動を続ける」という慣性の法則は相場の世界にも当てはまります。人の意図が集まる値段に達すると、別の力が加わり方向を変えたり、攻防のあと突き抜けたりして波をつくります。
その反対に別の力が加わるまでは方向を変えません。上位足トレンド方向への優位性が高い理由は、利食いや下位足トレーダーの逆張りがあるので一直線には動きませんが、目標に達するまでは基本的に方向を変えない可能性が高いからです。
大口の投機筋が互いに戦いながらチャートを動かしているので、僕ら個人トレーダーは彼らにだまされないよう注意しながら、鯨同士の戦いを見届け、売買バランスの崩れたところをコバンザメのようにくっついていくしか生き残る術がありません。
今日のまとめ
聖杯とは相場と向かい合う姿勢のことです。姿勢そのものがルールの構築や自信をもたらし、あなただけの聖杯を形作っていきます。
姿勢をつくるには、ひとつの仮説を立て、ひとつの検証をしてみることです。これをすれば、きっと多くの気づきを得られるはずです。それは、このブログを読んで得られる充実感よりもはるかに価値があります。
ひとつの仮説、ひとつの検証、多くの気付き。
ひたすら、これを繰り返すことが最速で勝ちトレーダーになる方法だと信じています。
インジ選びに迷う時間、手法探しに払うお金。そんな余裕があるなら、一歩づつでも前に進むべきです。
◆お断り◆
この動画は教育目的で制作されたものです。相場についての個人の見解を過去のチャートから解説したものであり未来の利益を保証するものではありません。売買取引についての判断は一切行っておりませんので、投資をされる場合は、それに関わるリスクを十分に考慮の上、ご自身でご判断ください。
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コメント
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コメント (17)
こんにちは。
私は、ドル円を中心に、デイトレードで1日10~20pipsを目標にしています。
自分のトレードを振り返って、結局、難しく考えずに下がったところをロングしてホールドしておけばいいのかな・・・と感じています。
日足を平均足で見ると、3~5本位陰線が続き、その後、陽線が続きます。
あまり細かい事は気にしないで、日足の波でトレードするために、参考になります動画がありましたらご教示下さい。
よろしくお願い致します。
日足でのトレードですと、10-20pipsというより、もっと長く持つ感じになると思いますが、週末のチャート分析が参考になると思います。
こんにちは、
奥行き(複数時間足)というのが重要なポイントだと思いますが、この点について詳しく言及している人や本が少ないように思います。解説が難しいからでしょうか。
エントリーについては、もう少し引きつけてから入るべきと思いますが、どうしても値を追ってしまいます。事後や止まったチャートでは、当たり前のように理解できますが、ここら辺は、もっと経験を積むしかないのでしょうか。
全てにおいて言えることですが、知るだけで、できるようになることはひとつもありません。トレーニングを積むしかありません。
今日もグッとくる動画でしたね。本当に納得できる、迷晴れさんの言葉 一言一言思わずうなずいてしまいます。
余計なインジケーターを捨てた今は、水平線を引いてその水平線に到達したら その先、どの様な展開になるのか可能性を複数考えて 方向が絞られてからエントリーする事に心掛けています。(これが迷晴れさんの言うジャッジと言う意味だと思います。)これも、迷晴れさんの動画から勉強させてもらいました。
以前でしたら、伸びているから乗り遅れては、ダメだと思い、飛び乗りをして負け。インジケーターが売りにサインが出てるので、何も考えないでエントリー をしてすぐに反転して損切り。インジケーターのシグナルが出た後シグナル通りのエントリーをしてるのにナゼ負けるのか?わからない…。腹が立ちます。
考え方を変えた今では、頼りにしすぎたインジケーターではなく、自分の考え 自分の判断ですね。自分で考えて負けたのであれば、納得できます。腹は立ちません。その時の判断の間違えを修正できるからです。インジケーターによる負けはいつまで経ってもナゼ?のままで、結局そのインジケーターは怖くて使えなくなります。
あと迷晴れさんの動画で勉強になったのは、水平線を引くとき 「強者の値」と「ネックライン」 これは本当に有効ですね。
さらに、精度の高い水平線を引けるよう、もっと言えば、迷晴れさんのトレードに近づけるように「急がば回れ」の精神で、それに付け加えて「短気は損気」という言葉も自分に当てはめて、練習と研究をして参ります。
「インジケーターによる負けはいつまで経ってもナゼ?のまま」僕もそうでした!納得できる負け方ができる方法を見つけることが何よりも大切な気がします。
NoN様
お世話になります。
今回も耳の痛い動画でした!
私も現在はインジを表示してトレードしています。
幸い利益は出せておりますので、この手法と並行してラインのみでのトレードを勉強しています。
1時間足での戻り売り、押し目買いを5分足でエントリーする手法は結構やっています。
今の手法と似ていますので…
最近は上げ止まりからの売りエントリーと下げ止まりからの買いエントリーを練習中でして
昨日のEUR/JPY1時間足ダブルボトムのネックをブレイクで買いエントリーが出来まして40pipsほど取れました。
本日のGBP/USD指標発表後の下落も日足サポートラインで止まったのは確認出来ました。
本当でしたらそこで買いエントリーし次のレジスタンスラインで利確するのでしょうが…出来ませんでした。
検証不足です。
NoNさんのおっしゃっている事が何となく分かってきたような感じがしています…
あと、不定期で構わないので小規模なセミナーなどして頂けると良いなと思います。
動画でも十分ありがたいと思っていますが、実際お話を聞けると更に理解が深まるかと思いますし
トレード仲間も出来ると励みになります。
(あっ、もちろん有料で構いません!)
インジには適材適所、そして機能している期間があると思います。その辺の見分けがつくなら使う価値もあるかなと思いますが、大概は上手に使えず逆に振り回されてしまいます。僕もときどきボリンジャーなどのインジを見ますが、使い方はかなり限定されています。
一言では表しにくいですが、勝組と負組には心構えに明確な違いがあるなぁと感じました。でも言葉にすると混同してしまいそうになるんですよねゑ…
自分はスイスフランショックでこの世界に首突っ込んだ負組一直線キャラでしたが、mayohare様のおかげでトレードを続けることができています。トレード必勝法を求めてネットをさまよってる時に、偶然発見したんです(^-^)ラッキ〜でした*\(^o^)/*
僕の動画は偶然発見される方が多いです(笑)そういう出会いを大切にしていきたいと思ってます。
相場とは、どういうものかが最短で分かる動画であり、
これを繰り返し見ることで、頭の中が整理されます。
デイトレード(オリバー・ベレス/グレッグ・カプラ著)に、
「成功しているトレーダーの財産は彼の思考回路にあるのであって、
彼のトレーディング手法にあるわけではない。」とありますが、
この思考回路が、この動画でより良く理解できます。
自分は、スリルではなく、リスクを取れるようになることが、
非常に困難だったと感じていますが(現在はリスクを取っている?)、
もっと早くこの動画を見ていればと思いました。
毎日聴いているマインド動画8本に、この動画も追加しました。
いつも他の追随を許さない程、完成度の高いブロクと動画、
サイト運営に大変感謝しています。
確かに手法ではなく思考回路ですね。こういう腑に落ちる言葉は宝物です。僕のブログも「デイトレード」のような知る人ぞ知る名著のような存在になれるように頑張ります。
とてもためになりました。
太陽系の地球から、宇宙船くるみ号に乗って、
迷晴れ銀河を旅しました。
行く先々でいろいろな迷晴れ星があり、
どの星でも宝が輝いていました。
相場は宇宙で、自由に旅することができる。
迷晴れ星お遍路様お百度参りの果てに
たどり着くべきは、自分の聖杯。
静かに、着実に、しっかりと。
自分の聖杯に近づいて行きたいと思います。
素晴らしい旅をありがとうございました。
今後ともご指導をよろしくお願い致します。
クルミ「私は貴方の、思い出の中にだけいる女。私は貴方の、負け続けた心の中にいた青春の幻影」
ナレーション「今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る。今、万感の思いを込めて汽車がゆく。一つの旅は終わり、また新しい旅立ちが始まる。さらばクルミ。さらば銀河鉄道963。さらば、負け続けた日々・・・」
二度目のコメントですが恐れ入ります。
移動中の電車など、空いた時間では迷晴れお百度参りで
ランダムに動画を拝見しています。
この、「最速」のお話も何度か見ていて、
自分のコメントも記載されていますが、
そのお返事がすごいことになっていることに気づきませんでした。
999の小さな銀河や惑星メーテル、スターシャなどで
脱線盛り上がりを見せた9月より前に、
こんな過激なお返事を頂いていたことに記憶がありませんでした。
驚きです! ありがとうございます!
このセリフとナレーションは私の頭の中でも、
BGMとともに、美しく鳴り響くことができます。
ちなみに、銀河鉄道963って何でしょう?
検索したら、ブログはみつかりましたが、よくわかりませんでした。
コメント、といえば、
私自身が過去にどれほど、どのようなコメントを
迷晴れブログに書いてきたのか、
過去ブログを全部たどってテキストにまとめてみたら
一日かかってしまいました。
コメントでは、新たな学び、気づきを得たことを
いつも嬉しそうに書いていますが、
その内容が、今の私にとっても新鮮すぎることが恐怖です。
コメントに書いてあることを全て覚え、身に着けていたら、
どれほどすごいことになっていたでしょうか?
初心忘るべからず、といいますが、
日々の気づき、学びも光速で忘却の彼方に消え失せようとするのを
繰り返しの反復で刷り込まないといけないですね。(笑)
コメントのテキストファイルが並んだフォルダをみるだけでも、
迷晴れブログが、すでに世界一のトレードスクールであることに
確信が持てます。
英語版ができたら世界中に散らばるかもしれませんが、
そうなるとますます欧米トレーダーが闊歩してしまうので、
日本語版だけでよいと思います。(笑)
光速で広がる宇宙。
光速で忘却する記憶に勝つために、
光速の学びと気づきをつづけていきたいと、
大げさに思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
銀河鉄道963(クルミ)です(^^♪こちらこそ、今後ともよろしくお願いしますです!
拝見させていただきました。
個人的なこととしては、インジケータには元々興味がないのでその点は心配ありませんでした。
ただ、エントリータイミングに関しては、資金面での乏しさから含み損を嫌いどうしても気になります。
微損もしくは微益でエグジット、その後思惑方向ということが日常茶飯事です。
ただ、現在は利を伸ばすことを捨てて損切と微益撤退の練習を徹底しようと思っています。
自分が勝とうと思うなど10年早いと思って相場に望んでいます。
エントリー手法もシンプルなものに決めて検証中です。
素晴らしい気付きをありがとうございました。