12Mar
今回はWボトムやWトップなど天底反転フォーメーションの解説でよくでてくる”ネックライン”についてトレードにどうつなげるかを深堀りします。
ネックラインの定義
視聴者さんからこのようなメールを頂きました。
初めまして迷晴れ様、トレード歴1年のtokkiと申します。迷晴れ様の動画はトレードを始めた時より拝見しております。むしろ書籍は買わずこちらの動画でトレードの勉強させていただいております。いつも為になる動画ありがとうございます。また本当にお疲れ様です。上昇トレンドがネック付近にて反転下落になる場面をたまに見かけます。過去に動画にてネックラインについて迷晴れ様が話されていた場面があったと思われます。ただその動画が見つからなかったためこのような形で質問させていただきました。迷晴れ様はネックラインの意味合いをどのように思われているでしょうか?お忙しければ返信は結構ですので気が向いたらで構いません。ご意見いただけると幸いです。
ネックと聞くと”ボトルネック”や”鬼の首をとる”など急所や障害の意味を連想しますが、まずは”ネックライン”を次のように定義してみました。
高値を更新できず下抜かれた安値。
安値を更新できず上抜かれた高値。
ものごとは単純化して、本質的に同じなら、ひとつのものとして扱うほうがスッキリします。
トレードでも目安にするライン種類が多すぎると、優先順位がつけれなくなって混乱必至です。
この定義だとネックラインはWボトムやWトップといった反転フォーメーションの一部だけでなく、トレンド中の押し安値や戻り高値を除いた様々なレートがネックライン扱いになります。
平行レンジ・WMレンジ・三角持ち合い、これらの高値や安値に引くラインもネックライン、WM波形があれば、そこにはネックラインが出現しているというわけです。
ようするにN波動の崩れたWM波形あるとこネックラインありき、です。
ネックラインと目線づけ
ネックラインは高値未更新の安値、安値未更新の高値ということ、つまり買い手や売り手のフォローが続かなかったヘタレの高安です。
それが故に押し安値や戻り高値に比べ”守り”が弱く値が止まる確率もそう高くありません。
じゃ、ネックラインは大して意味なし、無視して構わないかといえば違います。
ネックラインはそこで値が止まる、止まらずにかかわらず、おそらく多くの人が”目線づけ”の基準にしています。
トレ-ドにおいて健全な目線づけができないと、適切なトレードプランを立てることができません。
健全なトレードは、健全な目線に宿る。
そういっても過言ではないでしょう。
適切な目線づけとは、自分本位ではなくマーケット本位であること、マーケットに点在するトレーダーの目線を推量るスキルです。
ネックラインを”目線づけ”の基準にしているトレーダーは相当数います、なぜなら、毎回、そう推測できる値動きをするからです。
上図なら、上位レジスタンスでWトップになったことで、安値Cロングが上位レジスタンスを越えるのは難しいだろうと推測するトレーダーが出てくることで高値C手前の高値Dで失速します。
もし、上位レジスタンスで頭を押さえられてなければ高値Cを越えていくかもしれません。
つまり、安値Cロングをフォローする人の数は上位レジスタンスの解釈次第ということになります。
ここで質問です!
上図をみて紺〇1・2・3のどこで下目線にするのが正解でしょう?
- 紺1:上位レジ反発からの高値切下げ
- 紺2:ネックライン割れ
- 紺3:ラス押し安値割れ
答えは全部正解で、高値C・D:Eのそれぞれにショートできる根拠があります。
- 高値C:上位レジスタンスへの2回目の上値試し(Wトップ)、上位レジスタンスを意識してロングポジションを手仕舞い始める。
- 高値D:上位レジスタンスWトップへの天井試し:ネックラインを割って天井を試して失速すると、いよいよロングポジションが手仕舞う、加えて、安値Bのロング組がやれやれ戻ってきたと決済するでしょう。
- 高値E:下降トレンド発生からの戻り売り:安値Dの安値を割るとアゲダウからサゲダウになります。
上位レジスタンスの強さが前提ならボクなら全部ショートします。
ネックラインと押し安値・戻り高値、これに加え、ボクは”強者の値”を意識します。
これは巨額資金が投入され高値・安値・重要度の高い節目をブレイクさせたレートのことで、サポートやレジスタンスされることも多い”目線づけ”でも使えます。
冷静に考えればわかりますが、何を基準に目線づけしてるかなんて、人それぞれです。
でも値動きをみていると、10人がそれぞれバラバラろいうわけでもありません。
最適解と不正解
上図、下目線にするなら、Wトップの2番天井が最も早く、次いで、ネックライン割れからの天井試しの高値D、強者の安値割れからの高値E戻り売り、最も遅いのはサゲダウになってからです。
ダウ理論を基準に目線を切り替えるなら遅くなりますが、これはこれで正しい選択です。
でも、唯一無二の解ではありません、もっと早い段階で目線を変える人たちもいますから。
納得できる負け方ができる解が納得解だし、そういうレートで入れれば、それは逆説的に正しいエントリーポイントといえます。
個人的なおすすめは高値Dのショート、早すぎず、遅すぎずといったレートですから。
上図は簡略化してありますが、実際のチャートではラス押し安値とネックラインが重なることもあるし、ものすごく近接していることもありますが、本質的には同じことなので、その辺りは裁量判断になります。
ようするに値幅次第。上げ幅、下げ幅がなければそもそもトレードに向きません。
ちなみに高値Cショートは安値Cでいったん利確することが多いです。
その理由は強者の安値ロングで戻されるかもしれないし、天井への上値試しで大きく戻されることがあるからです。
移動平均線やフィボナッチなど使う道具によってエントリーの根拠にズレが生じますが、およそ最適解となるレートは根拠が重複することが多いです。
最適解として目星をつけるところが似てるからこそ、毎回似たような値動きをするのでしょう。
コロナショックのような非常時になるといつもとあきらかに違う値動きをするので、そのことを痛感します。
では不適切な解はどうでしょう。明らかにおかしなところでエントリーする人はいますが、その原因はN波動を意識できないせいです。
例えばグレー1や2でショートするのは適切じゃありません。
N波動の片波がいつ終わるかもしれないからです。
N波動をイメージできず、高値Cからの下落している事実だけみてると自分本位な解釈をしてしまいます。
トレードはN波動を意識して、なるべく高いところで売り、なるべく安いところで買う。
極論これだけなのであまり難しく考えないことです。
今日のまとめ
缶詰のパイナップルしか食べたことない人は、本物のパイナップルをみても、パイナップルだと気づきません。
インターネットは情報の缶詰工場、誰かのフィルターを通って加工された二次情報にラベルが貼られていると考えるべきでしょう。
だから、ネットと盲目的な付き合い方をしてると、頭のなかが、中途半端に食べ散らかした缶詰だらけになって、いつまでも独自の視点が持てません。
為替相場というパイナップルの実物は”チャート”だけ、チャートが一次情報です。
チャートという無加工の一次情報を原理原則に基づき観察して気づきを得るのが大切で、二次情報は一次情報からの学びを助ける役目にあるべきと考えます。
ダウ理論で目線を変えろ、と書いてあっても、それはそういうラベルが貼られた缶詰、情報として間違ってはいませんが、輪切りにしたパイナップルの断面でしかありません。
原理原則的な情報を除けば、テクニック系やノウハウ系も、いわば断面なので、こればかり求める人は、いつの間にか独自の視点でものごとを考えることやめてしまいます。
最悪、相場は輪切りにされたパイナップルだと思いこんでしまい、もはや、新しい断面にしか興味を持てなくなります。
缶づめのパイナップルしか食べたことない人は、あのトゲトゲの姿なんか想像できないでしょうが、本当の姿はトゲトゲなんです。
もちろん、缶詰がすべて”悪”とはいいません、このブログや動画だって断面をお伝えしていることもあります。
大切なのは、その情報が断面なのか、原理原則なのかを区別して、すべてを一次情報から学ぶ材料として活用すればいいのです。
うまくいく人たちって、皆、そういう視点があるはずです。
一次情報 ⇒ 原則的な法則 ⇒ 独自の解釈や視点
この流れこそ、ものごとの”勝ち筋”、二次情報はあくまでこれを助けるものです。
◆お断り◆
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コメント
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コメント (7)
いつも素敵な動画をありがとうございます。今回もトレードの本質にせまるような素晴らしい解説ですね。ちなみに、今回の図でいう所のCの地点、Dの地点からロングしようという考えを一旦横に置くことで自分の場合は勝率などが劇的に変わってきた記憶があります。もちろん値幅にもよりますが、トレンドの波に乗る感覚を身に着けることがやはり王道だと思うので、下がったのを確認にして戻ってきた後、天井試しに失敗したのをトリガーにショートを打つ!やはり、Dのポイントをリアルチャートの中でDのポイントだと認識できるようになる訓練と成功体験がものすごく大事ですよね。ある程度できるようになると今自分が狙っている波がどの波なのかを理解して値幅を考えた逆張りもできるようになりますが、損切も限定できて伸びる波のDを取る練習がビギナーの方にはすごくお勧めです。
ちなみに、今月は実は腕試しのつもりにと週ナビに無いポンドもやってみています。ボラがものすごいのでチャンスだと思い、ドル円とポンド円だけで2週間で22エントリー。今の所、19勝3敗で、ロングは10日のドル円1回のみ、残りはすべてショートで+800pipsの月利益が過去最高となっています。すいません、自慢みたいになってしまいましたがあまりに嬉しくて迷晴れさんに聞いていただきたく思い、報告させていただきました。今月はまだまだありますが、前半ちょっと飛ばしてしまったので後半は少しゆっくり、リスクが低いポイントにのみ絞ってトレードしていきたいと思います。
すいません、CとDの地点については安値の方のCとDです汗。
今まで見たことのない大相場ですが、2週間で800ピプスとは快挙ですね(^_-)-☆基礎・基本ができてる人は、どの通貨でも戦える好例。Hさんのような方が、このサイトから出てきたことを我ながら誇りに思います。
とても分かりやすく、私にとっては良い復習になる動画でした。ありがとうございます。以前、どこかの動画で、「プルバックがある時とない時」のお話をされていたと思うのですが(確かその時は、「検証してみてください」と答えは教えてもらえませんでしたが笑)、自分なりに、なんとなくレンジの時はプルバック無しで上限下限まで飛んでしまうことがあるように感じていました。しかし、なんとも原因が不明で、そこから自分なりの答えも出せずにストップしていたのですが、この動画を見て死ぬほど納得できました。言われてみれば至極単純で当然な話なのですが、そのあたりにまだ自分で気づく力がないのだなぁと反省しました。。。(涙)まだ数値では出していないので、検証してきます!
理屈で考えると意外と単純だったりするんですよね(^_-)-☆
はじめまして。
マヨ晴歴は半年ほどですが、今回の動画で雷に打たれるような衝撃があり、思わずコメントしてしまいました。
動画内で、「目線変更するのはどの時点が正解でしょう?」というクイズがありましたが、私は迷わず「ラス安値越えたらでしょ…」って思ったのですが、その後の「全部正解です」という解答があり、個人的には本当に衝撃でした。
知らぬ間に、自分の考える目線づけを盲信し、それとは違う解釈の人達の思惑を無視していた自分に気が付いたのです。
いかに自分が相場を自己都合で見ていたのかを思い知らされると同時に、買い手と売り手の解釈が相違し続けるのが相場なのかという思いに至り、この動画を見てからチャートの見え方が変わりました。
以前はチャートのパターンでしか認識できていなかったのですが、今では、買い手と売り手の攻防が見えるようになり、後出しジャンケン的なトレードに徹する事により劇的なトレード成績の改善に至りました。
「全部正解です」という言葉が、思い込みと盲信的と言えるパターン認識だけのトレードから解放されるきっかけになったのは間違いありません。
そういう解釈もあるのだ、という他者の視点を持つという事がトレードにおいての自由自在に繋がるのですね。
今となってはテクニカルとかインジなどの複雑なものは必要なくなりました。ラインは使いますが、MTFに必要なものだけで、意識されるであろうものが見えれば充分です。
スキマがあればやるし、無ければやらない…
チャートを見れば買い手と売り手の呼吸が見えるので究極は何も要らないのかもしれません。
見えない時は見えるまで待てば良い。
小手先の数字とか手法に振り回されていた自分が嘘のようです。
これも、マヨ晴さんのおかげです。
本当に感謝してます。ありがとうございます。
ついに覚醒。素晴らしい!今まで試行錯誤してきたからこその気づきですね。