11Mar
ダマシとは何なのか?いったい誰が誰を何の目的で騙すのか、そのメカニズムと対策法を解説します。
相場には弱者と強者がいる。
相場には弱者と強者がいます。弱者とは小口で取引する個人トレーダーで、レートを動かす資金力はありません。これに対して強者は銀行やヘッジファンドなど企業トレーダーのことで、彼らにはレートを動かす力があり、特に投機的な取引をしている強者は、僕達のような弱者の資金を奪うことを日常の生業としています。
トレードとは合法的なお金の奪い合いです。弱肉強食の世界で仕掛けられた罠にかからず、逆に利用するためにはどう考えて行動すればいいのでしょう。
強者のように考え、強者のように行動するのがセオリー
強者には主要なサポート・レジスタンスラインを突破する力があるので、弱者は彼らの動きに合わせて、その方向へついていくのがセオリーです。相場は重い鉄球のように動き出すのにはパワーが要りますが、一度動き出してしまえばゴロゴロと転がっていきます。
しかし、なかにはフェイントをかけてくる強者がいて、それが「ダマシ」といわれる動きになります。ダマシとは強者が弱者をだますことで、例えば一旦壁を抜けておいて、すぐに反転して自分の開けた穴から元に戻るようなレート操作をします。狙いは弱者のロスカットのお金を奪うことです。
強者を止められるのは別の強者しかいません。弱者はチャートから強者の存在と気配を感じとり、自分の身を守ることしかできません。
ダマシのメカニズムと対策
レンジからのブレイク・アウトで解説します。レンジが長く続き、弱者である個人投資家は「そろそろ抜けるか」と引き金に指をかけている状況です。
- 青◯は強者のエントリー、青□は強者の決済。
- 緑◯は弱者のエントリー、緑□は弱者の決済。
ダマシのメカニズム
- ダマシ強者AはレジスタンスR1をブレイクさせるため⇑Aでロング。
- 弱者Bはブレイク・アウトと判断して、⇑Bで飛び乗りロング。
- 弱者Aは⇓Aのショートを⇑A-で損切り。
- 強者Cは⇓Cのショートを⇑C-で損切り。
- ダマシ強者Aは利益が乗ったところ⇓A+で利食い。
- ダマシ強者B(Aと同じ強者)はレートをレンジ復帰させるため⇓Bで逆張りショート。
- 弱者BはサポートされるはずのR1を下抜いたところ⇓B-で損切り。
- ダマシ強者Bは弱者Bの損切りに合わせて、⇓B’で追随ショート。
- ダマシ強者Bは弱者⇓B-の損切りを利益にして⇑B+で利食い
ダマシの失敗するパターン
- サポートラインR1を守ろうとする強者⇑Dがロング。
- サポートラインR1からブレイク・アウト押し目買いで弱者もロング。
- ダマシ強者⇓Bの逆張りショートは失敗して損切り。
- ブレイク・アウトの完成。
ダマシを防ぎ利用する戦術
- R1ブレイク・アウトで飛び乗ったとしても伸びきったところで一旦利食いをする(なぜなら、ダマシ強者もそうするから)
- ブレイク・アウトが完成するにはサポートラインR1まで戻って(あるいは間に)サポートされるはずなので、その値動きを確認してからロングする(強者を含む大きな力がないとレートが上がらないから)
- レートがレンジ内に戻りダマシと確信したらショートする(なぜなら、ダマシ強者もそうするから)
まとめると、騙そうとする強者がいる前提でトレードするということです。
市場がらみのレート操作
強者と弱者の関係性は何も投資家に限ったことではなく、東京市場とロンドン市場という見方もできます。
ロンドン市場が開く15:00以降、ジリジリとロンドン勢力の売りが続き、東京勢力の買いロスカットを巻き込み一気に下落することがあります。この現象もある意味レートを操作しているわけですが、僕達のような弱者は、こういうことがあるのを知っておくぐらいしかできません。
今日のまとめ
相場の倫理感は一般社会とは大きく異なり、「弱い者イジメ」も作戦のひとつです。相場で生き残るにはイジメっ子に目をつけられない術を身につけるしかありません。
■投資のリスクについて■この動画、ブログは、相場について個人の見解を解説したものであり、利益を保証するものではありません。投資をされる場合は、それに関わるリスクを十分ご考慮の上、ご自身でご判断ください。
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コメント
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コメント (17)
初めまして。
いつも動画で勉強させてもらってます。
話し方が上手なので、聞いていてもまったく違和感がなく、すんなりと入って来ます!
今年に入ってからFXに興味を持ち始めて、今現在はデモトレードで練習している毎日です。
迷晴れさんの動画を見だしてから、少しずつではありますが、FXに対しての考え方や(以前はギャンブルに毛が生えたようなもの程度との認識でした)チャートの見かたが変わって来ました。
自分も専業になれるように、会社に頼って行く生き方から脱却するために継続学習して行きたいと思います。
これからも、ヨロシクお願いします。
PS
自分は40代半ばですが、迷晴れさんも、同じぐらいですかね?
まさに同年代です(笑)アラフィフ世代頑張りましょう。コメント有難うございます。
こんにちは!
ダマシのメカニズム…最高の解説ですね。こんなこと教えてくれる人はいないと思います。勉強意欲が更に上がりました!
実は週明けからとれていた利益を今日一日で全て吐き出してしまいました。苦手なパターンなんです…
そこで質問なんですが、、、『この価格に来たらポジる』と身構えていて、あと5~10pp前後の所で逆行した場合、追いかけますか?よく起こる現象が、『決めたんだからギリギリまで引き付けよう』なんてチャートをガン見していると、どんどん遠くへ…
たまらず追いかけたりなんかすれば、立ち位置まで帰ってくる始末。勉強不足とは思いますが、よきアドバイスがあれば宜しくお願いします。
キホン追いかけないですかね。10ピプスもラインから離れているとなると、そもそも引いたラインが間違っている可能性があるので、追いかける場合も、しっかり戻してから入ります。そのまま行ってしまったら、あきらめます。
ありがとうございました。また宜しくお願いします。
いつもお勉強させて頂いています!
この記事に関しての質問ではないのでとても恐縮ですが、一つどうしてもスッキリしない事がありまして、質問させて頂きたく思います。どうかお答えして頂けることを祈ります。
その質問なのですが、ローソク足についてでして、ローソク足の陽線は買われたポジション量を示しているのですか?陰線は売られた注文が入り四角のボックスになったローソク足の部分がポジションとして残っているということなのでしょうか?利確や損切りの場合は四角のボックスに成らずにヒゲになるということなのでしょうか?
分かりずらい質問だと思いますが、何卒教えて頂きたいです!
宜しくお願い致します!
ローソク足はポジション残量を表すのではなく、値段の軌跡のようなものだと理解しています。たとえ1分足といえども1分間の中で値段は上下運動しますので小さな波をつくります。それを1本のローソクで表現しているわけです。ヒゲは波の最初と最後に反発があった証です。
勉強になりました!
ありがとうございます!
いつも素晴らしい動画、ありがとうございます。
迷晴れFXの全ての動画を繰り返し見ていて、相場の全体像が分かってきました。
チャートに水平線を引き、波のサイズを把握することで、
トレードの精度が、格段に向上しました。
私のベスト3の動画は、
●波のサイズから、待つ時間、打つ時間を知る方法。
●相場は3次元空間で考えれば勝てる。
●FXは知識量では勝てない。真面目なトレーダーを苦しめる魔物の正体。
になります。
玉操作に関して、1つ質問があります。
私は、常に分割売買をしているのですが、損切りの場合、分割されていますか?
出来ましたら、分割で損切りできるコツなどを教えて頂ければと思います。
よろしくお願い致します。
ベスト3動画、有難うございます。自分でも納得できる出来栄えの動画は、誰もがそう感じるのだと実感しました。損切りに関しては、特に分割はしてません。シンプルに根拠が崩れたら切ってます。
ありがとうございます。
やはりシンプルが良いですね。
あと、ベスト3動画に関してですが、下記の動画は別格で、超お気に入りです。
●これができれば一生お金に困らない、スキルの収益化とは何か。
私は、資本主義社会の縛りから、自分自身を解放させたいがために、
相場をやっているところがあります。
とてもためになりました。
ちなみに、クルミちゃんの首ふりかわいかったです。(笑)
ダマシ、という言葉にはこれまで若干の違和感がありました。
相場が自分の思惑通りに行かなかった時に、
何でもかんでもダマシといって相場のせいにするのは
わかっていない人の負け惜しみのような気がしていました。
今回の動画を見ると、
しっかりと意図的に行われるダマシがあるのだな、
ということがよくわかりました。
常に、強者の作戦を意識しておく必要がありそうですね。
ブレイクに乗るのは良いが、
ダマシの可能性を十分認識して途中で逃げる準備をする、
または、次の戻しまで様子見してみる、
などの作戦を準備していきたいと思います。
本文最後の、「ロンドンの東京いじめ」という表現も強烈ですね。
私の印象でも、7-8時のオセアニアのトレンドのトレードが、
9時以降の東京の動きで逆行終了する経験が何度かあり、
東京時間を監視できない状況での早朝仕込みはやめました。
ところで、強者のダマシについてですが、
為替相場はあまりにも巨大なので、
さすがに一社では動かせない気がしますがどうなのでしょうか。
何社かが示し合わせて(笑)とか、
チャートの動きで暗黙に結託してとか、
想像の世界になってしまいます。
「生き残りのディーリング」というプロディーラーの本では、
「下値支持線あたりで10億ドル買ってみましょう」という記述があり、
それによりレンジ相場が上下することが説明されています。
1万ドルが1万通貨(1枚)とすると、
10億ドルというのは、10万枚ですか!?
10枚、100枚の世界からは想像がつきませんが、
10万枚買えば動くのでしょうか?
もう一つ、欧州や米国の強者が大きな取引を行った場合、
本物のインターバンクではその注文が入るのでしょうが、
インターバンクにつないでいない日本の個々のFX業者では、
注文がなくてもレートだけを動かして合わせているのでしょうか?
まあ、自分が上手なトレードさえできれば
どうでもよいお話ですが、気にはなります。
勉強になる講義をありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
「何でもかんでもダマシといって相場のせいにする」確かにほとんどがコレですね(笑)そういう意味では、あまり神経質にならなくても、いいのかもしれません。いずれにしても僕らは、クジラのあとに付いていく鰯になるしかありません。
以前から思ってたんですが、動画に使われる絵
今回だと、巨大な球を押してる人間 等は迷晴さんが描いてるんですか?
違います。すでにある画像を使ってます。
なるほど。これで絵の才能まであったら凄すぎますもんねw
拝見させていただきました。
強弱の心理は集団心理と対で意識する必要がある重要なものだと感じました。
強弱にはなりようもない自分達が、集団にも属さない考え方で相場に臨む。
自ずからどう考えれば良いか見えてきそうです。
まだ見えていません。
このことを課題として忘れず考え続けます。
素晴らしい学びをありがとうございました。