22Nov
トレードで守りといえば”資金管理”が代表格ですが、今回は”時間管理”という視点からリスク・マネジメントを考えてみました。昔から、時は金なりといいますが、時間管理と損益は深く関係しています。
勝つ条件は敵の出方次第、チャンスが来るまで、負けにくくして待つしかない。
将棋には守備の陣形に、江戸時代から存在する”穴熊”というものがある。
これは最も堅い囲い戦法の一つで、この”態勢”をつくることで、守りを固めることができる。
守りが固ければ、撃をかわしつつ、敵のミスに乗じて攻撃に転じることができるし、何よりも守られているという安心感が違う。
守られているので、攻めるにも躊躇がない。
どんなスポーツにも、オフェンスとディフェンスがあるのに、トレードに限って攻めることしか頭にないのは変だ。
守るといって真っ先に思い浮かぶのは”資金管理”ですが、「待つも相場」の格言通り、チャンスを待つ時間への心構えや振る舞い如何によっては利益にも損失にもなるので、リスク・マネジメントは必要だ。
勿論、トレード基準にする時間軸によって、”チャンス”の定義はフラクタルに変化します。
何ピプスからをチャンスと呼ぶかは人によると思いますが、今回はディフェンスとオフェンス、つまり、大きく動き出しそうなレートや時刻になるまでをディフェンスタイムとします。
ボクはチャンスの起源は、敵側のミスにあると考えています。
敵がミスらない以上、チャンスにならないなら、自分ではチャンスを作り出せないことになる。
レートを動かす力がない以上、やはり、チャンス=敵のミスが起こるまで待つしかない。
この”待つ”という行為が少々厄介で、人の性格や経験度によって、心構えや、立ち振る舞いに違いがでます。
”待つ時間”はディフェンス・タイム
一日のなかで、大きく値が動くところは限られている。いろいろな条件がそろわないと、そうそう動くものではないので、必然的に大きな波ほど、待つ時間は長くなる。
ビギナーの時期は、待つべきか、打って出るべきかの判断ができない、いわゆる、空気の読めない状態なので、動くものをすべてに手を出す傾向がある。
相場の値動きに少し慣れてくると、待つべきか、仕掛けるべきかが何となく分かるようになり、”待つ時間”の過ごし方を考える。
ひとつはチャートを見ないという方法がある。
チャートを見ていると、ついついポジりたくなってってしまうのは人の常。
動く1分足をガン視しながら、マウスをクリックしないでいるなんて、力の指輪を目の前に差し出されて指にはめないようなもの、いずれ誘惑に勝てなくなる。
だから、1分や5分足のチャートは見ない、東京時間は見ない、月曜日は見ない、米雇用統計の日は夜まで見ない、こんなルールにしている人もいるかもしれない。
とはいっても、あまり動かないはずの月曜日に動くこともあるので、適当なレートにアラートを仕掛けてスマホにメールで飛ばすなどの対策をとっていると思う。
もうひとつはディフェンス・モードでトレードする方法。
数ピプスを抜くスキャルピングならチャンスも多いのでトレードを我慢しなくていい。
ディフェンス・モードは守り優先のトレード、利益が延びる期待感はゼロだ。スプレッドの影響も受けるので、勝率の高いところだけをサクっと抜く感じ。
本人の性格もあるので、スキャルピングを万人にオススメするわけではないが、何となくチャートをガン見していても、誘惑に負けるのは目に見えている。
ディフェンス・モードのトレード
3週間続いた天井圏ネックラインを下抜いた場面。
15日から16日にかけ押し安値からの買いとネックライン(天井)からの売りで攻防している。
15日足がネックラインをブレイクしたことを根拠にすれば目線は売りだが、高値1~4のどこで戻り売りが成功するかはわからない。
結果的に、高値1からの戻り売りが失速、念押しで高値3を試してダメだったので下がり始めたようにみえる。
ただし、相場なんて何が起こってもおかしくない。勢いが強ければ高値1・2からの戻り売りが成功したかもしれないし、高値4で上げ止まらずに、さらに赤点線まで上昇したかもしれない。
この日は、高値2の辺りからの売りを考えていて、時刻的にもロンドン始動でちょうどよかった(この心理をロンドン早出組に狙われた感があるが…)
高値2に至るまでの値動きは、あくまでディフェンス・モードなので、青1ロングは高値1のネックラインまでしか狙いません。
なぜなら、ここから本格的に売り手が攻めてくる可能性があり、ボクもそれに便乗しようと考えていました。
矢印Aをイメージしいのは、前日安値の強い反発+手前のWボトム+東京時間+ネックラインに対して高値1への一回試しだけでは不足と判断したからです。
ところが、そう考えない希望的観測トレーダーもいます。彼らはおそらく高値1.5から”期待売り”をするでしょう。
エントリーは小さな赤ブロックからの黄色ダマシ安値を使い、売り手がポジションを投げるところを捕らえました。
高値2で本命のショートを構えていましたが急落、V字回復、こうなったら売るにしても暫く様子を見てからにしたいところです。
様子を見ていると、緑ブロックを上抜いたので青2ロング、この急落に乗ったショート・トレーダーの建値撤退+損切りを狙いましたが、このロングも、次の水色レジスタンスまでしか狙っていません。
大きく習うなら、高値3の三尊天井を待たねばなりませんが、結局、この売りも一発では抜けませんでした。
待てないと守れない。
攻めるなら攻めるなりの根拠がいります。
その根拠なしに、自分が何をしているのかわからず、手を出だすのだけはやめたほうがいい。
待てないというのは、”守りの態勢”がつくれないわけで、それだけモロくなります。
ボクのなかでは、狙えそうな値幅によって、攻めと守りという感じでスイッチを入れ替えていますが、本格的に攻めれるレートに至るまでに連損で疲弊してしまっては元も子もありません。
だから、待ってる間、何もしないという選択肢も正解だし、それは仕事をしていないわけではなく、守りを固めているのだと思えばいいでしょう。
何が言いたいかといえば、どうな方法でも構いませんが、待つにも、心構えと工夫が必要かなと思います。
ボクも、いろいろ試行錯誤しましたが、やはり、何もしないのは苦痛だったので、今のようにディフェンス・モードでトレードすることにしました。
本命じゃなく、あくまでスキマを抜くだけなので、ブレイクなどの期待をしないことが、かえって利食いに躊躇がなくなり、良い結果につながっているように思えます。
物理的+心理的に高勝率なところ、つまり、左側にレジサポがなかったり、ポジションを慌てて手仕舞うところを主に狙っていて、そういうところは損切りもタイトに設定できます。
大きく狙うところは、敵の残党がまだ守っていたりして、思わぬ反撃に遭うこともありますが、小さく狙うところは、その残党もいないことが多いです。
兼業で大きく狙えるタイミングに出くわせない方も多いのではないでしょうか。
大きく狙うことと、小さく狙うこと。それぞれ分けて意識すれば、チャートを整理しやすくなり、つまり分析しやすくなるのではないでしょうか。
スキャルもデイトレも両方やるんだ!=これは水平線もインジも両方使うんだ!
これだと、二兎追うものは…になってしまうので、どっかを”主”、もう片方を”従”とするのがシックリくると思います。
ボクの主戦場は東京とロンドンなので、NY時間しかトレードできない方とは少し違うかもしれませんが、参考になればと思います。
偶然は準備のできてない人を助けない。
ルイ・パスツール
人生には、チャンスが幾度もあるが、それがいつ起こるのかわからない。
チャンスの瞬間より、そのチャンスを待つ時間の方が長いのは明らかで、人生のほとんどの時間は、そのタイミングをつかむ準備に費やされる。
相場に流れる時間は、いつも同じ価値じゃなく、時間帯や曜日、経済指標の有無、世界情勢などの影響を受け、タイミングやボラタリティに左右されている。
時間は誰にも等しく”平等”に与えられる道具だが、その成果は”公平”ではない。
それまでの努力が報われる価値の高い時間と、努力が報われにくい価値の低い時間がある。
要するに、守りに徹すべき時間と攻めに徹すべき時間がある。
人生も相場も、種まき→発芽→成長→収穫のようなサイクルがあって、そのタイミングに合わせて、するべきことをするのが”究極の時間管理”なんじゃないかと思う。
種まきの時期に、収穫は無理だし、収穫の時期にボーとしていてはいけない。
良い種をまけば良い実がなり、悪い種を、まけば悪い実がなる。
悪い種だったと途中で気づき、今更あとには引けなくなってジレンマに苦しむこともあるが、そんなときは、思い切って一からやり直すのがいい。
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コメント
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コメント (8)
チャートポイントからトリガーまでの流れの確認は
ろうそくの反転サインしか見ていませんでした
心理的勝率と物理的勝率の意識が足りなかったと思います
時間を合わせるのも難しく感じてしまいます
こんなに高度なことできなくていいのかもしれませんが、
やっぱり、できるようになりたいです
期待感が強く、いまにも動き出すのではないかと錯覚してしまい。あとで振り返ると、余計なことをしてしまったと後悔してました。行動の前に思考や感情があるので、どうしたら期待感を持たずにやれるのか…その人なりの工夫が必要かもしれません。思っているよりも大きな波は立たないので。
そうですか。時間を合わせようとすることがプレッシャーなのかもしれません。
やっぱり、無理はいけませんね。。
チャートを見る場合に見るべきポイントが5つから6つほどあると思います。
それらの条件が絡み合って値動きの方向性が出るのかどうかだと思いますので、必然的に待つ時間が生じると考えたら良いのかもしれません。
各市場の始まりの初動を捉えれば最大の利益が取れる可能性もあるのですが、作用に対する反作用で逆方向に向かえば目も当てられません。これを捉える方法を見つけることができませんのでここをパスとすると、その次のリアクションまでそれなりの時間がかかるということでしょう。
ただ迷ってしまうのは、例えばトレンド方向からの逆の波や動きが出てその転換を狙う場合、一発で大きく動いてそのまま伸びてしまうときとダブルボトムを作る場合、逆三尊を形成してから伸びていく場合といろいろあります。
ここが単純にはいかないところだと思います。
しかし、それも注意深く見ているとその違いが見えてきます。
それを考慮した上でエントリーして、どこまで伸ばすかを考えたり逆行した場合は損切りなどとしないと効率が悪いと思います。
ローソク足やインジケータやチャートパターンは全て参考程度であり、大事なのは注目された実際出来高の多い価格帯つまり水平線、波の角度を決める切り上げや切り下げライン、上位足を含める転換点の位置関係などでありそれらを注意深く確認して、上昇しやすい確率下降しやすい確率とリスクリワードや波打つタイミングまで見る必要があると思います。
ここまで考えたら考えすぎのように見えますが、1日2回から3回はほぼ毎日チャンスが出てきます。
躊躇するということとチャンスを待つというのは全く違う感覚であると思います。
道理がわかれば、自信を持って待つことも損切ることもできると思います。
わからなければ、迷ってばかりでいつまでも自信がつきませんしイライラがつのります。
勝つためには相場の値動きの本質を突き詰めるのがやはり一番の近道なのでしょう。
そこからまずは負けにくくなってくるのかもしれません。
道理、この一言にすべてが集約されるのかもしれませんね。
道理を知ってトレードするのと、道理を知らずトレードするのとでは、同じポイントでエントリーしたにしろ、異質のものだと僕も思います。道理がわかっているから、思惑通りにいかなくても受け入れられます。
NoN様
こんばんは。KaZです(^^)
今週も『勝利はつくれないが、負けにくさならつくれる。』の文字起こしが完了しましたのでご確認くださいm(_ _)m
PS
先週も映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のご紹介ありがとうございました。今週末は休日返上で仕事だったので、時間のある時に観る楽しみとして温めておきます(笑)
そういえば、今年は動画アワードはありますか?個人的な印象ですが、今年もかなり名作揃いだったと思うのでとても1つに選べそうもありません(^^;ガツーンっと来たのはマインド系が多かった気がしますが、経験値的な実感としてはメソッド系だったり…まあ、当然人によっても違ってくるとは思いますが、これから観る方には一通り観ることをお勧めしたいです(爆)
それでは、今週もチャートの荒波へ。調子が良かったら子供のXmasプレゼントに上乗せ還元することにします(^^)ゞ
いつも有難うございます。
少し前に、耳に少し障害のある方からご連絡を頂きました。字幕があることで、とても助かっているとのことでした。
ご協力のおかげです。
動画アワード、12月に入りましたら投票開始したいと思ってます。
「助かっている」…普段、案外貰える機会の少ない貴重な言葉です(NoNさんは多くの視聴者から浴びせられていると思いますが)。僕の場合、文字起こしのルーティンは自分の為でもあるのですが、助かると思って頂ける方がいらっしゃることは素直に嬉しいです。その点は他の協力者の方々もきっと一緒ではないかなぁと。教えてくださってありがとうございます。もし、そういった方々から「この動画の字幕が見たい」等のご希望があれば、出来る範囲でご協力しますのでご依頼下さい(^^)ゞ
それでは、今夜はポジションの仕込みが終わったので、OCO掛けて明日に備え夢の国へ旅立ちます(-.-)ZZZ