17Jun
週刊チャートナビ438回(2023.06.12~2023.06.16)は、前編はドル円・ユーロドル・ポンドドル相場をチャートで考察。後編の「今週の深堀り」では、今後のトレードに役立つケース・スタディをします。
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ドル円
今週の見通し
概要
大局は22年陽線61.8ポイントの押し目買いが150.00を目指す流れのなか、140.00に頭を押さえられている。
- 2週前はらみ足確定(この240ピプスは方向感弱い)
- 140.00に頭を押さえられ、先週高安の持ち合いになった。
- 今週は、米消費者物価指数、FOMC、ECB、日銀政策決定会合と大きなイベントが続く。FOMCは「利上げスキップ」ならドル売り、利上げならサプライズ、日銀政策決定会合で政策変更がなければ、ドル円の上昇に拍車がかかるだろう。
- 重要経済指標:米消費者物価指数・FOMC・ECB・日銀政策決定会合
売り手の注目
140.00背景の5月高値Mトップ(二番天井は140.00、あるいは、5月高値)
買い手の注目
- 5月安値起点の上昇トレンドが継続中。
- 4時間チャネル安値+3週前はらみ足安値(5月4週足安値)への下値試し。
トレーディング・レンジ
TR上段㊤ | 11/21高値レジサポ・ライン |
TR中段 | 2週前ハラミ足高安 |
TR下段㊦ | 3週前はらみ足安値(5月4週足安値) |
今週のシナリオ
4時間足ベアの視点
140.00レジスタンス背景の5月高値Mトップ形成中。①5月高値の二番天井(140.00あるいは5月高値)を背中にショート。②4時間チャネル安値+3週前はらみ足安値(5月4週足安値)周辺の押し目崩れでショート。
4時間足ブルの視点
5月安値上昇波をフォロー。①5月高値Mトップ二番天井の崩れで11/21高値へロング。②3週前はらみ足安値(5月4週足安値)+4時間チャネル安値周辺で押し目買い。
今週の値動き
2週前はらみ足高値をFOMC以降の動きでブレイク、金曜の「日銀金融政策決定会合」での金融緩和継続を受け押し目買いされ高値を更新。
今週の攻略ポイント
2週前はらみ足基準でトレード。
22年陽線の押し目買いの影響下にあるとみて、ドル円は2週前はらみ足内部の、安値切上げサポートを根拠にロングで攻めた。
毎日の攻略ポイント
1.2週前はらみ足の安値切上げサポートでロング。
2.2週前はらみ足の高値ブレイクで押し目買い。
06/12月曜
- 5月高値のMトップ二番天井を形成中。
- 先週高安の持ち合いで方向感なし。
- 米CPI(明日)発表待ちの相場。
ベアの視点:金曜高値に二番天井をつくればショート検討。
ブルの視点:139.00+4時間チャネル・ミドルのサポートで140.00へロング。
- ロンドン時間、金曜高値に二番天井確認後の黄1ショートは、4時間チャネル・ミドル+139.00とのリスク・リワードが悪く見送り。
- NY時間、4時間チャネル・ミドルWボトム確認後の、黄2ロングは、金曜高値とのリスク・リワードが悪く見送り。
- 明日のCPI待ちの相場なのでノートレード。
06/13火曜 米CPI
- 先週高安の持ち合い。
- CPI発表待ちの相場。
- 6/9金曜高値と4時間チャネル・ミドル(+日足MA21)の三角持ち合い。
ベアの視点:140.00への上値試し、金曜高値を上に騙せば5月高値ネックへショート。
ブルの視点:先週安値を試せばロング。
- 東京・ロンドン時間、CPI発表待ち。
- NY時間、CPI初動を139.00+日足MA21で受け、5分足安値切上げで青1ロング、CPI高値で1/2アウト。
- 翌日のロンドン時間、Mトップ完成で撤退。
2週前はらみ足の安値切上げサポートでロング。
2週前はらみ足の安値切上げサポートに引きつけてロング。米CPIは経済経済指標時の値動きによくある「下振りからの高値抜き」パターンになった。
06/14水曜 FOMC+パウエル発言
CPI初動で下値を試して6/9金曜高値をブレイク、先週高値手前まで買われた。
ベアの視点:①先週高値で上げ止まればプルバックのショート検討。②FOMC以降に5月高値を試せばショート検討。
ブルの視点:①前日陽線を先週高値へ押し目買い。②FOMC以降に日足MA21を試せばロング。
- 東京・ロンドン時間、高安の切下げを確認。
- NY時間、前日の押し安値を割り込むも、前日陽線の押し目買い候補に達したので黄1ショートは見送り。その後、日足MA21への下値試しからFOMCで急騰。
06/15木曜
- 先週高安のレンジ内だが、日足MA21サポートで安値切上げ。
- FOMCによる急騰で、前日足は下髭ピンバー。
ベアの視点:FOMC高値の二番天井形成でショート。
ブルの視点:FOMC高値の二番天井崩れで、先週高値抜きのロング。
- 東京時間、FOMC高値の1時間足はらみ足高値抜けで青1ロング、2週前はらみ足高値+5月高値を更新。
- ロンドン時間、141.5の反発、4時間足3同時線確定でアウト。
- NY時間、高値切下げで1時間MA21へプルバックを赤1ショート、先週高値+140.50でアウト。
2週前はらみ足の安値切上げサポートでロング。
前日安値の2週前はらみ足の安値切上げサポートで買いたかったが、FOMCを控えて買えなかったので、FOMC高値抜けでロング。
06/16金曜 日銀金融政策決定会合+植田総裁会見
5月高値を更新したものの、ほぼ行って来い、前日足は141.50の反発でピンバー。
ベアの視点:①5月高値二番天井から140.00へショート。②FOMC高値から140.00の押し目崩れで、日足MA21へショート(一段下げる動き)
ブルの視点:①FOMC高値から140.00の押し目形成から、5月高値へロング。②日足MA21を試せばロング。
- 東京時間、140.00を下に騙して急騰、下がったところで青1押し目買い、前日の戻り高値で1/2アウト。
- ロンドン時間、日銀は「政策変更なし」、植田総裁もハト派姿勢だったのでロング・ポジションを保有。
- NY時間、4時間陽線5クローズでアウト。
2週前はらみ足の高値ブレイクで押し目買い。
前日に2週前はらみ足高値をブレイクしていたので、日銀会合の「政策変更なし」を受けて上昇3波を押し目買い。
ユーロドル
今週の見通し
概要
1.1000Mトップ形成中だが、5月安値の押し目買いが、これを崩す可能性がある。
- 5月高値下降波戻り売りと5月安値Wボトム押し目買いの攻防。
- 重要経済指標:米消費者物価指数・FOMC・ECB
売り手の注目
- 5月高値下降波の戻り売り。
- 100日MAの押さえ。
買い手の注目
- 5月安値Wボトム押し目買い。
- 3月安値→5月安値の安値切上げ。
トレーディング・レンジ
TR上段㊤ | 1.0900 5月陰線61.8%戻し |
TR中段 | 先週コマ足高安(Wボトム) |
TR下段㊦ | 3月安値(1.1000Mトップのネックライン) |
今週のシナリオ
4時間足ベアの視点
5月高値下降波をフォロー。①先週高値-1.0900に戻り目形成を待ってショート。②先週安値サポート崩れで3月安値へショート。
4時間足ブルの視点
5月安値Wボトム押し目買い。①5月高値下降波の戻り目へロング。②5月安値下降波の戻り目崩れでロング。③先週安値まで売られればロング検討。
今週の値動き
今週は5月安値Wボトム上昇3波押し目買いがフォローされ、さらに、ECBの利上げ継続発表を受けユーロ買いが加速した。
今週の攻略ポイント
5月安値Wボトム上昇3波押し目買いをフォロー。
5月安値Wボトム上昇3波押し目買いを、5月高値下降波の戻り売りに注意しながらフォローしたが、ECBの利上げ継続決定でユーロ買いが加速。
今週は、米CPIやFOMCがあったため、何度か買い直したが、すべてのロングは5月安値Wボトム上昇3波押し目買いのフォロー。
毎日の攻略ポイント
1.5月安値Wボトム上昇3波押し目買いをフォロー。
06/12月曜
- 5月安値にWボトム完成。
- 明日の米CPI発表待ちの相場。
ベアの視点:①5月安値Wボトムの上昇3波押し目崩れで先週安値へショート。②先週高値Mトップでショート検討。
ブルの視点:5月安値Wボトムの上昇3波押し目買い。
- 東京時間、上昇3波押し目候補に逆三尊を確認。
- ロンドン時間、逆三尊ネック抜け、青1ロング、先週高値でアウト。
5月安値Wボトム上昇3波押し目買いをフォロー。
明日に米CPIを控えているのと、2回目の下値試し警戒から、先週高値で貰っておいた。
06/13火曜 米CPI
5月安値Wボトムの上昇3波押し目買いは、CPI待ちでフォローがつかなかった。
ベアの視点:5月安値Wボトムの上昇3波押し目崩れで先週安値へショート。
ブルの視点:5月安値Wボトムの上昇3波押し目買い続きをロング。
- ロンドン時間、先週高値を4時間足が更新。
- NY時間、CPIでの4時間MA21への下値試しを待ってノーポジ。
06/14水曜 FOMC+パウエル発言
前日陽線終値が先週高値を更新するも、100日MAに頭を押さえられてる。
ベアの視点:100日MA+4時間チャネル高値のレジスタンスで、5月高値下降波を戻り売り。
ブルの視点:①100日MA+4時間チャネル高値の戻り目崩れで1.0900へロング。②FOMC以降に月曜安値+月足MA21を試せばロング検討。
- 東京・ロンドン時間、下値試しを確認。
- NY時間、100日MA+4時間チャネル高値の戻り目崩れで青1ロング、4時間5陽線クローズでアウト、その後、FOMCで急落。
5月安値Wボトム上昇3波押し目買いをフォロー。
この日のロングは、深夜にFOMCを控えていたので片波だけ貰った。
06/15木曜 ECB政策金利+ラガルド会見
100日MA更新後、5月陰線FR50.0%からFOMCで急落。
ベアの視点:1.080FOMC安値の押し目崩れでショート。
ブルの視点:1.080FOMC安値を試せば、前日高値へ押し目買い。
- 東京時間、FOMC安値のサポートを確認。
- ロンドン時間、15分キリサゲ・ライン抜けを確認。
- NY時間、ECB初動、下振りからの高値抜けで青1ロング、利上げ継続決定によるユーロ買いで1.0900を更新。
- 翌日の東京時間、1.0950レジスタンス、4時間同時線クローズでアウト。
5月安値Wボトム上昇3波押し目買いをフォロー。
ECBの利上げ継続決定によりユーロ買いが加速、5月高値下降波の戻り目候補1.0900を上抜いた。
06/16金曜
ECBの利上げ継続は市場予想通りとなり、ユーロ買いで急騰、6週前安値まで買われた。
ベアの視点:今週足上髭狙い。1.0950Mトップで1.0900へショート。
ブルの視点:前日大陽線を1.0900+1時間チャネル高値で押し目買い。
前日陽線の押し目候補、1.0900へのプルバックを待ってノーポジ。
ポンドドル
今週の見通し
概要
GBPUSD 日足に月足ロウソク
GBPUSD 4時間足に月足+週足ロウソク
- 100日MAと月足MA21の持ち合い高値を放れ、5月高値更新を目指す流れ。
- 重要経済指標:米消費者物価指数・FOMC・ECB
売り手の注目
5月高値(=22年5月戻り高値)のレジスタンス。
買い手の注目
- 5月陰線終値の1月高値サポートからの6月足陽転の事実。
- 先週陽線終値の月足MA21ブレイク。
トレーディング・レンジ
TR上段㊤ | 5月高値 |
TR中段 | 先週高値と1.2500(先週陽線押し目) |
TR下段㊦ | 先週安値 |
今週のシナリオ
4時間足ベアの視点
①先週高値Mトップでショート検討。②5月高値でレジされればショート検討。
4時間足ブルの視点
①先週陽線を5月高値へ1.2500押し目買い。②先週高値二番天井崩れで5月高値抜きロング。
今週の値動き
GBPUSD 1時間足に月足+週足+日足ロウソク
先週陽線の押し目買い、1.2500へのプルバックから買われ始め、ECBの利上げ継続決定で上昇加速、5月高値を更新した。
今週の攻略ポイント
GBPUSD 4時間足に月足+週足ロウソク
先週陽線を押し目買い。
5月陰線終値が1月高値でサポートされ、先週は6月足が陽転したので、今週はその続きを買いでフォロー。 先週陽線終値が月足MA21をブレイクした事実も買いの材料になった。
毎日の攻略ポイント
GBPUSD 15分足に週足+日足+4時間足ロウソク
先週陽線のプルバックをショート。
- 月曜のロンドン時間、ダマシ高値×15分キリアゲ・ライン抜けで赤1ショート。
- NY時間、1.2500先週陽線の押し目候補到達でアウト。
先週陽線の押し目買い。
- 火曜、黄1ロングは半端に上昇していたのと、米CPIも控えていたので見送り。
- NY時間、CPIによる下値試しを待ったがノーポジ。
- 水曜の東京時間、1.2600+1時間MA21サポートを確認。
- ロンドン時間、4時間3陽転で青1ロング。
- NY時間、4時間陽線5クローズでFOMC前にアウト。
- 木曜のNY時間、ECBの利上げ継続決定を受け、青1押し目買い。
- 翌日、1.2800到達でアウト。
今週の深堀り
ドル円、2週前高安のはらみ足(緑矢印)は、250ピプスもある、大きなレンジですが、これをどう扱いますか?
小さなレンジなら、ブレイクを待ってついていけばいいが、大きなレンジが苦手で、このなかを、どうトレードしたらいいのかわからない。
かつてのボクがそうでした。
レンジの取引方法は、こちらの記事でも紹介してますが、今回は「大きなレンジをどう単純化して、取引しやすくするか」にフォーカスしてみます。
大きなレンジのなかの動きって複雑に見えますが、レンジの構造を理解して、情報を整理していけば単純化することができます。
分析とは「情報を見やすく分ける」こと。つまり、レンジをどう分かるかがミソなんです。
1.要素の分離
2.レンジの分解
3.まとめ
1.要素の分離
レンジに限らずですが、チャートを単純化をするには、トレードの根拠となる「確定要素」と、根拠にならない「不確定要素」を分離することが大切です。
そんなことをいったら、相場そのものが不確実性の世界なのだから、全部「不確定要素」ではないのか?
たしかに、その通りなのですが…
たとえば、トレード手法は、優位性を持つ「確定要素」の組み合わせでつくられているからこそ、ルール通りにトレードすることで、トータルで利益を残せる。
手法って「確定要素」に何が使われているかに目が行きがちですが、それらは、誰もが気付いてるレベルのことが多いです。
手法の本質は「不確定要素」を除去することで、雑多な情報に目がいかなくなるから、勝ちやすくなるものだと思ってます。
テクニカルだけでなく、ファンダメンタルも同じです。
日銀が金融緩和を続け、FOMCが利上げを示唆、または継続すれば、日米の金利格差で円安が進む。
これは「確定要素」なので、トレードの根拠にしています。
しかしながら、FOMCが利上げをスキップしたら短期的にどうなるか。これは、ボクのレベルでは「不確定要素」なのでわかりません。
利上げスキップで、一旦、ドル売りされるかと思いきや、そうはなりませんでした。
レンジの「確定要素」ってなんでしょう?
これがなければレンジとしての体(てい)を成さないものはなんでしょう?
それは、レンジの上値抵抗帯(レジスタンス)と下値支持帯(サポート)です。
レンジ相場に高値と安値があるからこそ、我々トレーダーは、レンジ相場として認識できます。
レンジを上図の4パターンに整理してみました。
レンジを難しく感じる人は、レンジ内の不規則な値動きをとりたくて、強引に「確定要素」を見つけようとするからです。
レンジはレジスタンスとサポートによって秩序が保たれていて、これにより、エントリーポイントが決まります。
もし、レジスタンスとサポートの秩序が保たれてなければ、レンジブレイク手法は全く通用しなくなります。
①平行レンジ+上位足売り目線
レンジ高値に引きつけてショート。
レンジ安値のブレイクで戻り売り。
レンジ形成中の安値に引き付けてロング(逆張り)
②安値切上げレンジ+上位足買い目線
安値切上げサポートに引きつけてロング。
レンジ高値ブレイクで押し目買い。
レンジ安値を試せばロング。
③高値切下げレンジ+上位足売り目線
高値切下げレジスタンスに引きつけてショート。
レンジ安値ブレイクで戻り売り。
レンジ高値を試せばショート。
④三角持ち合い+上位足売り目線
安値切上げサポートのブレイクでショート。
レンジ高値を試せばショート。
レンジ安値ブレイクで戻り売り。
今週のドル円は、2週前はらみ足のなか、安値切上げサポートが機能していた。
トレードプランは、上位足クラスは22年陽線の押し目買いに支持され買い目線なので、安値切上げサポートに引きつけてロング、2週前はらみ足高値ブレイクで3波をロング。
火曜と木曜のロングは、安値切上げサポートを使ったトレードで、木曜はFOMCが絡んで下から買えなかったので、仕方なく高値抜けになりました。
金曜は2週前はらみ高値をブレイク後の上昇3波押し目買い。
2.レンジの分解
レンジはレジスタンスとサポートに孕まれた相場なので、はらみ足(インサイド・バー)を形成することがよくあります。
レンジの構造は、ロシアのマトリョーシカに凄く似ていて、大きな人形のなかに小さな複数の人形を孕んでいいます。
小さなレンジならこの構造をそこまで意識しなくても構いませんが、大きなレンジになれば、意識せざるをえないし、意識することで取引しやすくなります。
ボクには、2週前陰線(250ピプス)がはらみ足になっていて、小さなレンジを2個ネストしているように見えました。
2週前はらみ足が親レンジ(緑)・先週高安が子レンジ(青)・6/9金曜高安が孫レンジ(紫)。
こんな感じで、三世代に分解できるので、各世代ごとのブレイクアウトを、2週前はらみ足内の安値切上げサポートを根拠に、孫→子→親へ順番にロングする作戦です。
火曜ロングは「孫レンジ高値」のブレイクを狙ったもの。
水曜安値の押し目はFOMCと被って見送りましたが、前日に「孫レンジ高値」をブレイク済だったので、FOMC高値抜けでロング。このロングは「子レンジ高値」ならびに「親レンジ高値」をブレイクしました。
金曜のロングは「親レンジ高値」ブレイク後の押し目買いです。
レンジの分解を行うことで、適切な利確ができるようになります。
火曜ロングは「孫レンジ高値」のブレイクを狙ったものですが、「子レンジ高値」レジスタンスに届かず失速したので撤退しています。
なぜ、撤退したのでしょう?
それは、深い押し目まで下落するリスクもありますが、このトレードがあくまで「親レンジ」のなかだからです。
140.00が意識されれば、強く売られるかもしれないし、切上げサポートとなる日足MA21を割ると、2週前安値の親レンジ安値まで下げるリスクもあります。
だからこそ、レンジ内のトレードは「伸びたところで貰っておく」が鉄則なんです。
3.まとめ
今回は「要素の分離」と「レンジの分解」によって、大きなレンジ相場を単純化して、トレードしやすくする方法を解説しました。
まとめると、その時の相場を支配している、上値抵抗帯(レジスタンス)と下値支持帯(サポート)が必ずあるので、レンジ相場においても、それを見つけること。
次に、大きなレンジ相場では、親・子・孫と三世代にわたってレンジがネストされることが珍しくないので、これらの高安をレジサポとして意識すると取引しやすくなります。
そして、最後にとても大切なことをお伝えします。
それは、
「わからないことは、わからないままにしておく」
「曖昧なことは、曖昧なままにしておく」
これって、チャート・リーディングするうえで、とても大切なマインド・セットです。
なぜなら、わからないことを強引にわかろうとしたり、曖昧なところに白黒つけようとすることで間違いが起こるからです。
たとえば「レンジの分解」について解説しましたが、それが難しいと感じるなら、今はやらないほうがいいです。
2週前はらみ高値(親レンジ高値)を木曜にブレイクするのを待って、金曜に押し目買いすればいい話なので。
上位足の方向に合わせて、レンジ・ブレイク手法を繰り返せば、トータルで勝てるはずです。
相場の波動をダウン・サイジングすれば、トレードのチャンスをいくらでも増やせますが、それが絶対正解というわけではありません。
小学生の算数ドリルと高校生の数学ドリル。
ボクが高校数学の問題をやったら、たぶん一問も解けないでしょう。
トレードは受験勉強ではないので、小学生の算数ドリルに正解できればいいんです。
むしろ、公文式のように易しい問題を沢山解くほうが力がつきます。
経験を積めば自然とわからないことが減っていきますが、相場の「曖昧さ」はいつまでも残ります。
曖昧さは「悪」じゃありません。
曖昧さ自体に「害」はないし、わかる問題だけ解けば普通に勝てます。
「曖昧さをわかること」
「わからないことがわかること」
わかって、そのまま受け入れて、寛容に見過ごせばいいんです。
すべてに白黒つけようとするほうが「害悪」です。
世の中って曖昧さと秩序が混在、バランスをとって成り立っています。
全ての曖昧さに白黒つけようと、ルールや法律で縛ったら、生きづらくなってしまいます。
トレードも同じで、取引しづらくなってしまいます。
昔、清少納言の枕草子で「山の端」と「山際」の違いを習いましたよね。
『春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎは少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端(は)いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。』
山際は山と空の境界線にある空のこと。
山の端は山と空の境界線にある山こと。
英語ならどちらも「edge」でしょうか。
山際と山の端は、山と空の境界線という、曖昧なエリアを指してますが、そこに春の気配と秋の気配という、全く異なる美しさを感じていたのですよね。
これって曖昧さの美学というか、曖昧なものに美しさを感じるって、とても日本人的な美的感覚だと思います。
秩序と曖昧さの間を見極め、そこに寛容であることって、トレードにも通じるなぁ感じます。
来週の相場観
ドル円
概要
- 大局は22年陽線61.8ポイントの押し目買いが、150.00を目指す流れのなか。
- 2週前はらみ足高値をブレイク、金曜の「日銀金融政策決定会合」で金融緩和継続を受け、円安が加速して142.00に到達。
- 143.00+日足チャネル高値付近で、頭を押さえられる可能性アリ。
- 重要経済指標:パウエル議長発言
売り手の注目
143.00+日足チャネル高値のレジスタンス。
買い手の注目
- 5月高値の更新で上昇トレンド(22年陽線押し目買い由来)が継続中。
- 3週前はらみ足高値(=5月高値)を先週陽線終値がブレイク。
- 日足MA21サポート。
- 日銀会合の結果を受け円安加速、先週陽線が坊主で買いの勢いが強い。
トレーディング・レンジ
上段㊤ | 143.00 |
中段 | 142.00 – BOJ 安値 |
下段㊦ | 先週安値 |
来週のシナリオ
4時間足ベアの視点
①先週大陽線の押し目候補へショート。②143.00まで買われればショート検討。
4時間足ブルの視点
①先週大陽線を押し目買い。②142.00付近の持ち合い放れにつく。
ユーロドル
概要
- 5月安値の押し目買いが、1.1000のブレイクに挑戦中。
- 5月安値Wボトム上昇3波押し目買い+ECBの利上げ継続発表でユーロ買いが加速。
- 5月安値Wボトム上昇波VS.日足チャネル安値の戻り売り。
- 重要経済指標:パウエル議長発言
売り手の注目
- 1.1000レジスタンス。
- 日足チャネル安値裏の戻り売り。
買い手の注目
- 3月安値→5月安値の安値切上げ。
- 先週の大陽線。
トレーディング・レンジ
上段㊤ | 5月高値 |
中段 | 1.1000 – 1.0800 |
下段㊦ | 先週安値 |
来週のシナリオ
4時間足ベアの視点
①先週大陽線の押し目候補へショート。②日足チャネル安値附近に戻り目をつくればショート検討。
4時間足ブルの視点
①先週大陽線を押し目買い。②先週高値付近の持ち合い放れにつく。
◆お断り◆
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コメント
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コメント (16)
動画・ブログ更新ありがとうございます。
みんな分かってなかったポンド買い。数か月前から唱えてましたが
もはや疑う人はいませんね?
SNSみてるとクロス円ショートで焼かれている人が多いですけど二重三重の意味で全く理解できません。
ニュースとか見てないんですかね。
数年前にある不動産を約1億円で買ったんです。
ちらほら売りがあるんで調べてみたら坪単価が2倍以上になっていました。
これローンは無いし今売ったら一撃で差額一億円の利益確定なんですけど
どうしようかな・・
おつかれさまです。
今年からポンド始めて正解でした(^_-)-☆
よく知りませんが、1憶が数年で2億って、不動産投資も夢がありますねぇ。
あるサービスを見つけました。
どのサイトかは書かないでおきますが既に稼働しています。基本的に有料です。
指定された内容を学習してAI chatbotが回答を生成します。
任意のソースが指定可能で、websiteも含まれます。
試しにつくってみました。
ttps://imgur.com/a/fdN8KjV
今回のプロンプトは敢えて浅い内容にしました。
対策をもし取るとしたら、クローリングを排除する様に設定することだけでしょうか。
YouTubeの音声を拾うプラグインも既にありますしなかなか面倒な状況かと・・
Aiから見を隠す透明マント(ai nofollow)が要りますね。
今週もお疲れ様でした。
FRBはタカ派。ECBは更にタカ派。日銀は緩和継続。
じゃあ円を売っていけばいいわけです。
ユーロ円は2008年の高値に接近。あの、リーマンショックの高値圏です。実に悔しいことですが、日本株の売却を検討するところに来ました。これ以上日本株を買うと私のポートフォリオの株式保有率が上がりすぎる。致し方なし。上昇トレンドで売るのは屈辱です。
日経ダブルインバース(要するに平均指数の空売り)の保有率も過去最大に近づいている様です。
今、日本株を買っているのは外国人投資家が殆どってことでしょう。
こういう局面はVIX(恐怖指数)が下がりがちになり、通貨はレンジ相場になりがちです。
ドル円は大局的には150円を再び目指すでしょうけど、上からの売りに気をつけて買っていかなければなりませんね。いや、それよりもポンド買いの方がいいか。
1時間足に切り下げを引いて、ウィークリーピボットを目指して売買。100pips狙いを異なる通貨ペアで2、3回。こんな感じに戦略を切り替えようと思います。
いや、いつもやっている事なんですが、直近まで円を売っていればラクショーでしたからね。この後は株価に引っ張られて円高に一瞬振れるのが、円売りトレンドフォローのリスクになるとみています。
マヨ晴れさんが今年からポンドドルを始めたのも、コレに噛み合っている気がします。小さくトレードするより、一回で100pips棚板を狙う方がラクですもんね。
おつかれさまです。
「FRBはタカ派。ECBは更にタカ派。日銀は緩和継続」
こちらを背景に、150円を目指してドル円は買い選好。
週レベルの陰線に警戒しつつ、150円に近づけば、日銀の介入があるかも。
悩んだら基本。ですね。
当たり前のように世間が「円安」と言っているのだから円売りでいいと思います。
ただ、上からの売り(円買い)に気をつけなくてはならないでしょう。そして最も厄介な事がその円買いは、テクニカルトレーダーとしてはタイミングを取る事が極めて難しいという事です。
ショック相場の高安は狙うことが出来ません。
トレンド相場ならチャネルが引けるんですけどね。
株もまた、予想だけでは売買できません。
世界の投資家やファンドにポートフォリオを寄せてゆく事を信条としている私としては、これ以上日本株の保有率が高くなることは黄色信号です。
「これ以上は個別を買えない」というシグナルです。
単純に為替レートと円売越しと中銀介入警戒だけが主要国の通貨を動かしていた2021年なら、ドル円150円レジスタンスで売れたんですけどね〜。
ドル円1987年高値はものすごくわかりやすかったので。
ttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-01/RVJMLLDWX2PS01
同時に円を売ってくれているけれど
急なレパトリには注意が必要ですね
利確が急なんよね。
波のサイズが大きくなるから、押し目も深くなる。
昔のポンドドルはホントそんな感じだった。
「サブプライムまだまだいけるやろ!」みたいな時は、1H移動平均長期、中期、短期ゴールデンクロスがラクショーだった。
当然なんだけれども、ショック相場が始まる前って直近は緩やかなトレンド状態になっていることがほとんどなんだよね。
例外は、政権交代時のアメリカ大統領選のときのドル円。このときは、ウェッジ(先細り)パターンの逆が検出されることが多い。
要するに高値更新と、安値更新を1時間足クラスが繰り返す、期待と不安の入り混じるパニック相場なんでしょう。
トレンド相場。レンジ相場。パニック相場。
実は中長期投資はこの三つの見分けがつけば、非常に簡単だったりする。
ChatGPTに、日銀政策変更なんかで
日本株ETF売り、ヘッジ円ショート解消、円キャリーレパトリが
同時に来たら不味いだろって言ったら
そのような警告を出している専門家は一人もいません
と一蹴されました笑
日本株ETFってジャンク株混ぜてる可能性は無いんですかね
The Big Shortの観すぎかな
誰も思っていないことが起こるからショック相場な訳で。
一時の円買いは、前回介入で示されたから、その事実だけで十分だと思いますよ。
ともあれ、これ以上日本株を買う気にはなれないねぇ。
いつもご教授頂き有難うございます。今週の深掘りの最後で分からないなら分からない、曖昧なら曖昧にするとのまとめがありましたが正にそれに尽きると思いました。レンジでも幾つかの種類があるかと思います。それまでのトレンドを継続させるための足場作りだったり、伸び切ったトレンドから展開していく局面だったり、あるいはどちらに行くのかわからず様子見してる場合等あると思いますので、ハッキリわかってから動くのが一番だと思います。今週は大きなイベントが続いてたこともあり、様子見ムードでスタートするだろうと自分も思ってましたし、大きな指標がある時はポジションを持たないという自分のスタイルもあったので今週は殆どトレードできませんでしたが、金曜の夜になってもなかなか円に売りが入ってこないので、クロス円のチャートを見ていたらポンド円の5分足で丁度いい足場を見つけたのでロングして久しぶりに100pips以上取れました。取れたpipsが大きいか小さいかよりもそこで取れた場面が簡単だったかどうかが重要だと思います。特に足場を見つけてのエントリーには一番こだわりたいです。それともう一つ大事なことは負けた後にどう対処するかです。損切りした後すぐに取り返えそうとしてズブズブハマり一気にオケラになってしまう繰り返しなので、負けた後にどう立て直すかという第4の戦略を具現化したいです。負けた後は必ず同じ行動を取って立て直す。勝ち残ってるトレーダーはここも簡略化して実行してますので、自分もしっかりその形を作りたいと思います。
おつかれさまです。
わかる問題だけ解く。
これに尽きますね。
自分にとっての「わかる」とは何か?
わかっているなら、この先どう負けるかもわかるので、
「まぁ、そういうこともあるわ」
その程度で済んでしまいます。
お疲れ様です。
今週もありがとうございます!
早いもので今年も25週目になりました。
今年は成長をかなり感じていますが、少し調子が良くなると練習をサボってしまう時があるので時間を決めて取り組んで行こうと思います。
1日の30分くらいはそこに時間を使って慢心せずにやって行こうと思います!
2023年も半分終わりますね。
時間が経つの早すぎ!
お疲れ様です。
週ナビありがとうございます!
月曜日のリスクリワードが悪く見送った解説はもしかして僕が先週コメントしたからなのではと勝手に思っています!(^^)!
ありがとうございます!
「わからないことはわからないままにしておく」非常に刺さりました。
毎日チャートを見ながら「迷晴れさんはどお考えれいるか」を予想して、週ナビで答え合わせをしていましたが今回の深掘りで現在の自分では難しい事にも手を付けている事に気づきました。
まさに強引に確定要素を探していました。
トレンド発生中の押し目買い、戻り売り・伸びる3波これに絞ってかつ優しい問題だけを徹底的に極めていきます!
迷晴れさんのようにどんな相場でも利益が出せるトレードを夢見てあれもこれも手を付けていましたがまだまだそんな段階ではないと感じました!
もう一度「基本こそ究極の奥義である」に戻ります!