6Jan
テクニカル分析と代表選手といえばインジケーターです。インジケーターは初心者でも簡単に儲かりそうなオーラを常に放っていますが、相場はそんなに甘くありません。今、テクニカル沼にはまっている実感のある人は、是非、読んで欲しい記事です。
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テクニカル沼の入り口は、エントリーへの純粋な知識欲。
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FX初心者が、まず最初に求めるのは、どうなった時にエントリーすればいいのかということで、そこで出てくるのがインジケーターです。インジケーターを使ったエントリーは、初心者でも視覚的にわかりやすく、まさに聖杯に見えても仕方のないことだと思います。
かくいう僕もインジケーターを1年間こねくり回した経験があります。移動平均線のクロスやオシレーター系の売られすぎ、買われすぎなどに始まり、海外サイトの最新インジケーターまで、とにかく調べまくりました。でも、よく考えてみれば相場は民主的で多数決で動くものなので、誰も使っていないようなインジケーターなど調べても全く無意味だったわけです。
今では、インジケーターの背景にある相場の景色そのものを見るようになり、インジケーターの見方が180度変わりました。チャートが読めるとは自動車の運転ができるのと似ていて、運転するときに見なければいけないのは、周りの景色だということです。景色から情報を仕入れて感覚で行うのが運転であり、スピードメーター(インジケーター)などの計器類はあくまで運転の補助に過ぎません。
昔、教習所で車庫入れを習うのに「左の三角窓に2番めの黄色いポールが見えたら、ハンドルを左に切り始めろ」と習いました。でも、この方法は、教習所の中でしか通用しません。外の世界で車庫入れするには車両感覚ありきで小手先のテクニックは通用しないのです。インジケーターを用いた手法なども、一見すると魅力的ですが、相場の景色が変われば通用しないことが多いものです。
永遠に技術が向上しない貧乏ループ
インジケーターの存在を知った時は楽しくて仕方がありませんでした。この無数の組み合わせの中に絶対に必勝法があると信じて疑わなかった僕は、複数のインジケーターの組み合わせで自らの手法を編み出そうとやっ気になっていました。チャートは色とりどりのインジケーターで埋めつくされ、無茶苦茶、複雑な(見難い)オリジナル・チャートに満足しました。
しかし、その結果は散々でした。インジケーターには機能しない相場が多々有り、それをカバーするために、さらにインジケーターでフィルターをかけ、パラメータを修正。そんな毎日を過ごす中で、インジケーターの研究にはとんでもない時間と労力がかかることを身をもって学びました。こんな大変なことを個人の人力で続けていたら、いつまで経ってもお金を稼げない。インジケーターを使わない方が、かえって早く稼げるようになるんじゃないかと考えが変わりました。
テクニカル沼にはまる問題点は、いくらインジケーターを調べまくっても、自分の基準が見つからないことです。これでは、基準をもとにした練習ができません。これは永遠に上達しない貧乏ループなのです。インジケーターを収集するという満足感は得られますが、全く技術の向上につながることなく、まるでラットレースのように同じ場所をグルグル回っているだけです。
水平線はシンプルかつ最強のテクニカルツール。
チャートにローソク足以外で何かひとつしか表示できないのなら、僕は間違いなく水平線を選びます。 水平線の良いところはたくさんありますが、一言でいうなら、そのシンプル(単純)さです。水平線にはインジケーターのようにパラメータ調整の必要がありません。相場が値段で支配されていることを考えれば、世界中のトレーダーが意識されている値段を見える化できるツールも水平線です。チャートの左側にあるマネーの足跡から未来を推測するときも水平線を使い、どの時間足でも同じ見方ができます。
僕の場合、水平線は細い水平線(ライン)と太い水平線(ゾーン)の大きく2種類で考えていて、それぞれに役目があります。斜めラインやインジケータなどは、あくまで水平線の信頼度を高めるためや、エントリー・タイミングを取るために使うくらいで、正直、そこまで精密さを考えないのであれば水平線だけで事足ります。
仮説と検証を繰り返す金持ちループ
テクニカル沼の貧乏ループから脱出して、金持ちループに入らなければなりません。金持ちループはまず仮説から始まりますが、この仮説が複雑過ぎると検証が困難になります。仮説はシンプルでなければなりません。僕の場合は水平線が一番シンプルかつ最強と考えているのでそれを選びましたが、人によってはインジケーターでも構わないと思います。大切なのは何かひとつを選び、じっくり検証することで、自分の答えが見つかるという点です。
このループは科学実験やスポーツ・トレーニングでも同じです。仮説はあくまで仮説、それを自分の答えとするには地道な練習や検証が絶対に必要で、決してシンプル(単純)=簡単というわけではありません。シンプルなことを言葉で伝えるのは難しいものです。シンプルであればあるほど感覚的で、それは野球でバットに球を当てるのを数字や言葉で説明するのが難しいように、シンプルとは奥深いものなのです。ひとつのことを掘り下げる作業は退屈で時間もかかりますが、それこそが技術向上の鍵となり、一度身に付ければ生涯の財産となります。
今日のまとめ
科学の本質を示したものに、オッカムの剃刀という定理があります。14世紀イギリスの哲学者オッカムは、仮説はシンプルでなければならないと唱えました。複雑な仮説を剃刀でそぎ落とし、シンプルな仮説ひとつを選ぶのが好ましいと言いました。相場には無限の仮説が存在します。この無限の組み合わせが、選択の自由という極めて不自由な状態をつくりだし、混乱を招き敗者を量産しているのだと思います。
■投資のリスクについて■この動画、ブログは、相場について個人の見解を解説したものであり、利益を保証するものではありません。投資をされる場合は、それに関わるリスクを十分ご考慮の上、ご自身でご判断ください。
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コメント
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コメント (9)
シンプルだけれども単純ではないというところ、ウンウンとうなずいて視聴させていただきました。昨年はオシレータ頼みの基準のないトレードで負けました。今年は、もう一度デモから自分の基準を作るべく水平線による仮説検証で戦略を立てれるようになって、相場を読めるようになりたいと思っています。これからも有益な情報発信宜しくお願い致します。
コメント有難うございます。自分の基準、本当に大切だと思います。僕も基準を持ってからが本当のスタートでした。
私はFXを始めてから水平線と移動平均線しか使った事がありません。しかし勝てないのが現状で、どうしても自分の考えを付け足してしまいます。
『まてよ…実はこうなんじゃないか?
いや、もしくは…』など
今、一番の課題がこれを無くす事です。
今回の動画内容とはズレたコメントですいません。
次回作、楽しみにしています!
2015年もよろしくお願いします。
僕の場合は、チャートの左側からマネーの足跡を辿り未来を読み解く練習を重ねました。チャートの左側にこそ、今からするトレードの答えがあります。それと、意識されるラインにレートが来た時のプライスアクションを見て勝負の着いた方向へエントリーする感覚も大切かなと思います。この感覚を磨くには短期足を見る練習が必要かと思います。余計、混乱させてしまったらすいません。2015年こちらこそ、よろしくお願いします。
始めまして、凄い勉強量ですね!
私も色々試してみました、移動平均線なんて決まる時は芸術的な形になりますね。
しかし一旦崩れると、混乱します何処を基準にして良いやら、そして何時も恣意的なカーブフィッティングのチャートができあがります。
移動平均線に水平線を引くアイデアは私も試していますが、時間のスパンに追われていますが、効果的ですね。
ハイ、ここで買い。ここで売りが自動で出来る機械がほしいですね。
コメント有難うございます。やはり訓練された人間の脳にかなうものはないかもしれません。
おかげで沼から上がれそうです(まだ少し足が入っている状況ですが)
水平線(大口が建玉した値)が引けなければインジもテクニカルもまったく役にたたないですよね。
僕の場合、インジはタイミングの把握とか利食いの参考にしています。エントリー条件のひとつにすることもありますが、やはり水平線ありきです。
拝見させていただきました。
私の場合は性格的にインジケータには興味がないので逆の問題が出てくると思いました。
精度を高める必要が出てきた時にいつまでもインジケータに手をつけようとしないかもしれません。
ただ、そもそも勝てるようになってからの話なのでだいぶ先のことのようです。
その時になったら考えようと思っています。
ありがとうございました。