11Jan
迷晴れボックスに、ご投稿頂いたご質問にお答えします。今回のご投稿について、その根底にある心理について感じたことをシェアします。
ルールやパターンは勝つためだけにあるわけではない。
パターンとは、高い確率で起こる現象のことですが、もちろん例外もあります。この例外にフォーカスしてしまうと、自分の仮説やルールに疑問を抱いてしまい、迷宮入りします。
相場に確実はなく、あるのは確率だけです。そうしないためには、サンプルを集めて確率で判断しなければなりません。
検証の末に確率的に導きだした勝ちパターンなら、まずは、それを信じて、1回の負けにフォーカスするのではなく、これを続けていけばトータルで勝てることにフォーカスします。
慣れてくれば、勝ちパターンが崩れたときに逃げて損切りになるのを防げますが、これはこれで、また別の技術なので混同してはいけません。
自然も相場も真空を嫌う。
パターン通りに動かないことが不自然に見えてしまうと、そこに「過剰反応」してしまい誤射や乱射を招きます。
相場では、何が起ころうと、それは自然なことで、不自然ではありません。
ルールやパターンは、勝っても負けても、過剰反応しないためにあります。
勝てば利益に直接つながりますが、負けても、次のトレードに影響せず、自己信頼が崩れることを防ぐための安全装置であり、むしろ、こちらの役割の方が大きいかもしれません。
ところが、物事に正誤をつけないと気持ちが悪い、細かい部分が気になる完璧主義の方は、このパターンやルールを見出す過程でパーフェクトの呪いにかかり、やるべきことが先送りになり、シンプルからも遠ざかってしまいます。
パーフェクトではなく、今、ベストであればいい。
ベストには個人差があって、それ自体は曖昧な表現ではありますが、今、ベストを尽くせているという、このマインドが大事です。
今の自分はパーフェクトではないという心理状態が、不安や恐怖を招き間違った行動を引き寄せてしまうからです。
今の自分にとって、ベストとは何かを定義して、それを完璧に守ることに注力すればスッキリします。
投稿1:レンジブレイクの判断
勝率に悩むトレーダーに贈るエントリーの鉄則を拝見していてこれはエントリーポイントではないのかなーと思いました。
黒丸1 が基本形のエントリー
赤丸2 が足掛かり+ブレイクアウトを狙ったエントリー
損切りラインは青ライン
直近の高値(緑線)を利確目標(作図の関係でちょっと近いですが..)レンジブレイクの極意、一日20ピプスをサクっと捕る方法で解説されていたチャートパターンと似ていますが、似て非なるものでしょうか。
自分の形を決めればいいのでしょうけど、これって決められずに迷っています。検証あるのみですね。
この図が1時間足なのか、5分足なのかで、全く値幅スケールが違うので、実際のチャートをみないと何とも言えませんが、①のエントリーは基本形ということで、ボクも好きなカタチです。
ただし、間近に赤ネックラインがあれば、ファーストインパクトまでの距離が近すぎるのでエントリーできません。そう考える人も多数いるからこそ、ブレイクしても伸びないわけです。相場では、なかなか上に行けないとき、一旦、下に振って、もう一段下のサポートを試してから、壁を抜くことがしばしばあります。
赤丸では、レンジ内で上抜け期待の買いポジションを持っていた人たちの損切りで急落します。これは、ヘッジファンドがあえてそこ(ブレイク失敗)を狙ってレンジ下限を割らせるような仕掛けをするのかもしれません。
今までの流れは上昇なので、この急落は次の押し安値付近までと限定的ですが、これに便乗するショート組もいるでしょう。押し目候補でこの下落目標は達成なので、利食いが一斉に入り、V字になって高値を更新することがよくあります。
②のエントリーですが、左側に壁がなかったとしても、抜けてすぐのエントリーはダメです。飛び乗りできる足掛かりとは、緑波のようなレンジ上限で細かくモミ合う値動きのことで、この図を見る限りでは、そういうふうには見えません。もちろん、この黒レンジも足掛かりにはなりますが、レンジ上限の高値同士が乖離していると、紫波のような値動きになることもあります。
パターンが崩れると、別のパターンになります。この値動きも検証して、自分のものにすれば、一段下の押し目候補からロングできます。こういう負けトレードから、気づきを得ることが大事で、そこを意識すれば、負けトレードが勝ちパターンに変わります。
最後に「これって決められずに迷っています。検証あるのみですね。」とありますが、その通りです、それが答えだと思います。
投稿2:ラインブレイクの判断
雇用統計明けの月曜日、重要なラインの1.22を下抜けました。そして1.21500に対して小さなWT形成後、一気に下げました(①)ちょうど時間足の切り替わった日本時間19:00の5分足です。
②で再び50ラインレジを確認して下げに転換③で安値更新できず+上昇ローソク確定でロングエントリー。利確ラインは直前押し安値で約20P、損切りラインはひとつ前のローソク足で-10P。
損切りラインはちょっとタイトすぎる気もしましたが、損切り後に安値更新できずに再上昇した時に再エントリーすればいいかと思いました。ポンドの性質上、一気に持っていかれる方が怖いのです。
もう少し時間や値幅に余裕を持てればいいと思いイメトレでしたが、たまたま思ったような動きになったので、これが投資家心理を背景にしたトレードなのかな?と思い、投稿させて頂くことにしました。
4時間足で見ても1.21500周辺は意識されています。これは下ヒゲ連発を見れば明らかです。今回のケースでも同じような現象が起こる可能性があることが想定できます。
上から売っていた人たちからすれば、1.21500は目標達成感のあるプライスと考えることができます。もし、そう考える人が多ければ、ここから逆張りロングを仕掛ける人たちも現れ、下抜け期待の売りと攻防して横に走るかもしれません。
急落後は攻防するので、短期足だけ見ても、あまり手を出さない方が無難なのがわかりますが、4時間足以上を見ていなければ、この事実に気付かない人もいるでしょう。
前回の動画でも同じようなパターンを紹介しましたが1.21500のような強いライン(強いかどうかは上位足で判断)は、5分足が少し抜けたくらいでは、抜けたことにならないと考えます。しかも、50ピプスも急落して、散々売られたあとなので利食いが入る可能性も高く、さらに売るのはいただけません。トレードの基本は押し目買い・戻り売りです。その名の通り、押してから買う、戻ってから売るです。
最後にご投稿者のトレードですが、「たまたま思ったような動きになったので、これが投資家心理を背景にしたトレードなのかな?」とありましたが、1.21500周辺での投資家心理の降らぎと値動きを理解してやるなら、素晴らしいトレードだと思います。
短期足しか見てない近視眼トレーダーのラインブレイクを逆手にとったトレードで、安値の切上げもしっかり確認できていますし、利食いのプライスも理想的だと思います。ここで、利食いできるということは、あくまで、戻り売りが入ってくるまでの限定的な逆張りであることが理解できている証拠なので。
今回の記事を書いていて、方丈記の一節を想い出しました。よくよく考えると、これって相場の原理原則を、たった一行で表した名言ではないでしょうか。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
ゆく河の水の流れは絶える事がなく流れ続け、それでいて、もともとの水ではない。
淀み(売り買いの心理戦)に浮かぶうたかた(レンジや小競り合い)は、かつ消え(損切り)かつ結びて(利食い)久しくとどまるためしなし。
毎日のようにレンジになりますが、昨日のレンジにいた人と、今日のレンジにいた人は、同じではありません。こうやって、今までも、これからも続いていくのかと思うと、なかなか感慨深いものがあり、物事を俯瞰する大切さを教えてくれます。
相変わらず、必勝法などの広告が目につきますが、この一節を相場に当てはめ、深く理解することの方が、遥かに高度な学びになると思いますが、これをご理解いただける方は少ないでしょう。
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コメント
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コメント (8)
こんんばんは、
最近進歩したなと思うのは、取引終了後に勝っても負けても将棋の棋士が対戦後に復習するように検証を行うようになりました。
以前は、負けた時は必死に負けた原因を探りましたが、勝った時は特に何もしてませんでした。
勝ち負けよりも相場に向き合う姿勢が向上してきたように思います。
復習では、ベストのエントリー位置やタイミング、エグジットのポイントでどれくらいの値幅が取れたかを確認します。
実際、ほぼ上手くいった場合でも、他に方法はなかったかを確認します。
リアルチャートでパーフェクトに取引はできませんが、事後であればパーフェクトのイメージができます。事後のデモ的なトレードではお金は入ってきませんが、その積み重ねが将来につながると思います。
資格試験などの受験には過去問の繰り返しですが、本番の試験でどんな問題が出るかはわかりません。それでも過去問を解いた数だけ合格に近づきます。そして同じことの繰り返しであっても応用力がついてきます。
トレードも資格試験などの勉強も方法は同じだなと思います。未来の確実な答案を手にすることはできないので、過去に起きたこと(問題)を繰り返し検証する。
一般的に資格試験は、過去問やほぼ同一の問題が半分出題されて、6割以上得点できれば合格という形が多いようです。100点満点を目指すようなパーフェクトを求める勉強方法をする必要はありません。これも相場との類似点のような気がします。
そういえば、合格率10%未満の難関試験で、これで一発合格みたいな広告を見ますが、予備校や資格学校に行こうが行くまいが、結局は過去問を丁寧に何回も繰り返した人が合格をつかみます。特別な頭の良さや特殊な方法や知識は必要ありません。どれだけ地道に繰り返せるかが勝負です。相場で勝ち続ける10%ほどの人になるには対象物が違うだけで、取り組む上では同じマインドが必要であるということでしょうね。
逆算して考えれば「過去問」から勉強するのが一番効率的でムダがないです。相場も結局同じですね。ルールやパターンなどの基準を持ったリアルトレードは最高の「過去問」なんだと思います。
びっくりしました。
いつもながら大変参考になります。
ありがとうございます。
採用させて頂きました。有難うございます。
いつも拝見させていただいております。
FT3を導入し、検証作業が効率よくなってきています。
レンジブレイクを一つとっても、パターンは一つではありませんし、常にいくつもの可能性を考えないといけませんね。
また検証作業をするようになってきてから、エントリー数が減ってきました。
迷晴れさんが、ブログに書いてある通り、ちゃんとピプスを取れるところは一日のうちに何回もあるわけではないですね。
ブログを読むだけなく、自分で検証することで、腹に落ちる感覚です。
いつもありがとうございます!
これからも、よろしくお願いします。
よかったです!吉報お待ちしています(^^♪
迷晴先生
いつも素敵な動画をありがとうございます。
私は、会社では、フィールドSEという職種で営業活動からシステム設計構築、トラブル対応や保守まで幅広い範囲の活動をしております。
最近は、トレードの考え方が役に立っている気がします。完璧な品質よりも納期が大事だったりもします。
トレードに関しては、完璧なサインはやはり来ないので、自分の中でリスクを小さくした形で、リスクをとり、勝負する必要があるのだと思います。
また、逆に感情に任せて仕事やトレードをしても未来はないと思います。完璧を求めず、でも感情任せにもせず、自分の軸、ルールを作って、そこに自信、信念を持って、ただ愚直に取り組んで行く。繰り返し繰り返し。
これが、簡単に理解できて、やれるけど、実際にやり続ける事ができないことですよね。
本当にトレードを通して、人生学んでる感じです。(^^;)
何事も真摯に向き合えば、学べることは多いですね(^^♪